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壁運動異常とは
壁運動異常(Wall Motion Abnormality)とは、
心エコー検査において心筋壁の収縮や動きが正常と異なる状態を指します。
主に左心室壁の動きを評価し、
虚血性心疾患や心筋障害の重要な指標として用いられます。
正常な壁運動
正常な左心室では、
- 収縮期:心筋壁が内側へ均等に収縮する
- 拡張期:壁が元の位置へ戻る
すべての壁が協調して動く(同期性)ことが特徴です。
壁運動異常の分類
壁運動は一般的に以下の4段階で評価されます。
① 正常(Normal)
- 十分な内向き収縮
- 壁肥厚が認められる
② 低収縮(Hypokinesis)
- 収縮が弱い
- 動きが減少している
軽度虚血や心筋障害を示唆します。
③ 無収縮(Akinesis)
- ほとんど動かない
- 壁肥厚も乏しい
心筋梗塞後などでみられます。
④ 奇異運動(Dyskinesis)
- 収縮期に外側へ突出する
- 正常と逆方向の動き
心室瘤などで認められます。
なぜ壁運動異常が起こるのか
主な原因は心筋への血流障害です。
- 冠動脈狭窄・閉塞
- 心筋梗塞
- 心筋炎
- 心筋症
- 伝導障害(LBBBなど)
虚血が起こると、心筋収縮力が低下します。
評価方法(心エコー)
Bモード観察
- 心尖部像
- 傍胸骨長軸像
- 傍胸骨短軸像
複数断面で評価します。
セグメント評価
左心室は通常17セグメントモデルで評価されます。
各領域の壁運動を観察することで、
責任冠動脈の推定が可能になります。
壁運動異常と冠動脈の関係(例)
| 壁運動異常部位 | 関連冠動脈 |
| 前壁・中隔 | 左前下行枝(LAD) |
| 側壁 | 回旋枝(LCX) |
| 下壁 | 右冠動脈(RCA) |
臨床的意義
壁運動異常は以下に重要です。
- 急性心筋梗塞の診断
- 虚血評価
- 心筋生存能評価
- EF低下の原因検索
- 再灌流治療効果判定
評価時の注意点
- 呼吸や体動の影響を受ける
- 断面依存性がある
- 画像条件で見え方が変わる
- 1断面のみで判断しない
まとめ
壁運動異常(Wall Motion Abnormality)とは、
心筋壁の収縮や運動が正常でない状態を指します。
- 虚血・心筋障害の重要サイン
- Hypokinesis → Akinesis → Dyskinesis と進行
- 冠動脈病変の推定に有用
壁運動評価は、心エコーにおける
収縮機能評価の中心的観察項目です。











