ハーモニックイメージングについて

用語集

ハーモニックイメージング(Tissue Harmonic Imaging)

ハーモニックイメージングとは

ハーモニックイメージング(Tissue Harmonic Imaging:THI)とは、
生体内を伝搬する過程で新たに発生する高調波(ハーモニック成分)を利用して、
画像を構成する超音波技術です。

通常のBモードでは、
送信した周波数成分である基本波を主に受信して画像を作成します。

一方で、THIでは、
基本波が生体内を通過する過程で生じた、
基本波の2倍付近の周波数成分を選択的に受信し、
画像として表示します。

なぜハーモニックが生じるのか

超音波は、生体内を進む際、
完全な直線波として伝搬するわけではありません。

組織中での圧縮と膨張の非線形性により、
波形が徐々に歪み、
送信周波数の整数倍の成分が自然に発生します。

この現象によって生じた成分が、
組織ハーモニックと呼ばれます。

原理(しくみ)

まず、
基本波で超音波を送信します。

生体内を伝搬する過程で、
高調波成分が発生します。

受信時には、
基本波成分を抑制し、
ハーモニック成分を選択的に抽出します。

この成分のみを用いて、
画像を再構成します。

この仕組みにより、
体表付近で生じやすい不要な反射やノイズの影響を、
低減することができます。

特徴・メリット

ノイズ低減

サイドローブや多重反射などの影響が減少します。
背景がすっきりし、
全体の視認性が向上します。

境界描出の改善

臓器境界や病変の輪郭が明瞭になります。
境界が明瞭か不明瞭かの判断が、
しやすくなります。

深部画質の向上

皮下脂肪が厚い症例や肥満例でも、
深部構造のコントラストが、
改善しやすくなります。

画像上の変化

全体のコントラストが高くなります。
液体構造は、
より黒く、無エコーに近い描出となります。

境界はシャープに見え、
背景ノイズは少なくなります。

デメリット・注意点

表在構造では、
分解能が低下することがあります。

音響陰影が、
強調される場合があります。

処理量の増加により、
フレームレートが低下することがあります。

特に、
表在の微細構造を評価する場合には、
通常のBモードの方が適することがあります。

臨床での使い分け

有効な場面

腹部臓器の観察
嚢胞性病変の確認
病変境界の評価
深部構造の描出改善

注意が必要な場面

表在病変の詳細評価
高フレームレートが必要な観察
心拍動など動きの速い評価

Bモードとの比較

Bモードでは、
基本波成分を用いて画像を構成します。

ハーモニックイメージングでは、
高調波成分を用いて画像を構成します。

その結果、
ノイズは少なくなり、
境界描出はより鮮明になります。

一方で、
表在構造では、
Bモードの方が適する場合があります。

実践的な使い方

まず、
通常のBモードで全体像を把握します。

次に、
ハーモニックイメージングに切り替え、
詳細評価を行います。

表在か深部か、
動きの有無を考慮しながら、
適宜切り替えることが重要です。

ハーモニックイメージングは、
常時オンにする設定ではなく、
目的に応じて使い分けることが基本です。

まとめ

ハーモニックイメージング(Tissue Harmonic Imaging)とは、
生体内で自然に発生した高調波成分を利用し、
ノイズを抑えて画質を向上させる超音波技術です。

境界描出に優れ、
深部観察に有効です。

一方で万能ではないため、
検査目的に応じた使い分けが重要です。

この特性を理解することで、
超音波検査の精度向上につながります。

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