この記事の要点
臨床検査技師の勉強が難しいと感じたときは、「何につまずいているのか」を分けて考えることが大切です。
- 臨床検査技師は学ぶ分野が広く、知識だけでなく検査結果・画像の理解や操作も必要になる
- 知識の不足と実技のつまずきでは、確認する内容が違う
- すべてを一度に学ぼうとせず、今の業務や目標に必要なことから進める
- 実技は、知識を覚えるだけでなく実際に手を動かして確認する
- 自分だけでは分かりにくい操作は、先輩や指導者、外部研修で確認する方法もある
勉強しているのにうまくいかないときは、「自分は勉強が苦手」とまとめる前に、今どこで止まっているのかを確認してみましょう。
臨床検査技師として働いていると、
「覚えることが多すぎる」
「教科書では分かるのに、実際の検査になると迷う」
「先輩の操作を見ると分かるのに、自分でやるとうまくいかない」
と感じることがあります。
臨床検査技師が学ぶのは、基礎医学や検査原理だけではありません。
疾患、検査結果の見方、画像・波形、装置操作、検査前後の確認、患者さんへの対応など、性質の異なる知識や技術を少しずつ結びつけていく必要があります。
それらをすべて「勉強不足」とひとまとめにすると、本当に困っている部分が見えにくくなります。
この記事では、臨床検査技師の勉強が難しく感じる理由を整理しながら、今の課題に合わせて何を確認すればよいのかを見ていきます。
まず、今どこで止まっているかを考えてみましょう
- 用語や基礎知識がまだ整理できていない
- 知識はあるけれど、結果・画像・波形を見ると迷う
- 頭では理解していても、実際の装置操作がうまくいかない
- 一度できた操作でも、条件が変わると迷う
- 質問したり練習したりできる機会が少ない
どこで止まっているのかが見えると、次に確認したい内容も決めやすくなります。
臨床検査技師の勉強が難しく感じる理由
臨床検査技師の仕事では、覚えた知識をそのまま当てはめるだけでは対応できない場面があります。
検査目的や患者さんの状態、検体や画像の条件などを確認しながら、必要な操作や確認につなげる必要があります。
学ぶ分野が広い
臨床検査技師が関わる領域には、
- 血液検査
- 一般検査
- 生化学検査
- 免疫検査
- 微生物検査
- 輸血検査
- 生理機能検査
- 病理検査
- 遺伝子関連検査
などがあります。
数値を中心に扱う分野もあれば、標本、波形、画像を見る分野もあり、必要な知識や技術はそれぞれ異なります。
そのため、「全部勉強しないといけない」と考えると、何から始めればよいのか分からなくなりやすくなります。
まずは今担当している業務や、これから担当する予定の仕事に必要な内容から優先してみましょう。
学生時代の勉強と、現場で必要な勉強は少し違う
学生時代や国家試験では、幅広い知識を理解し、問題に答えることが中心になります。
一方、現場では、覚えた知識を実際の検査と結びつけて考える場面が増えます。
疾患について説明できても、実際の画像や波形を見ると迷う。
反対に、装置は操作できても、「なぜこの断面を確認するのか」「なぜこの条件で計測するのか」が曖昧なこともあります。
このような場合は、知識が足りないのか、実際の検査と知識を結びつける部分で迷っているのかを分けます。
今の目的が、
- 学生時代の知識を復習したい
- 配属された部署の仕事を覚えたい
- 苦手な検査を確認したい
- 転職や復職に向けて必要な内容を準備したい
のどれなのかによって、優先する勉強も変わります。
「勉強不足」で終わらせず、つまずきを分けてみる
検査がうまくできなかったとき、「もっと勉強しないと」と思うことがあります。
ただし、教科書を読み直すだけでは解決しない場合もあります。
今の課題を分けてみましょう
- 知識:用語、解剖、疾患、検査原理などが整理できていない
- 読み取り:結果、画像、波形、所見を見たときに迷う
- 操作:装置やプローブを目的に合わせて操作できない
- 条件の違い:患者さんや検体などの条件が変わると迷う
- 経験:症例や検査に触れる機会が少ない
- 環境:質問できる人や練習できる時間が少ない
たとえば、超音波検査で臓器をうまく描出できない場合も、原因は一つとは限りません。
解剖が曖昧なのか。
画面方向が分からないのか。
プローブをどちらへ動かすか迷っているのか。
呼吸や体位を変えたときの画像変化が分からないのか。
「エコーができない」と大きくまとめず、どの場面で止まっているのかまで分けて考えます。
独学でできることと、確認してもらった方がよいことを整理したい方は、臨床検査技師が独学で学べることと難しいことも参考にしてください。
周囲との早さより、自分がどこで迷っているかを見る
同じ時期に入職した人が先に検査を任されていると、自分との違いが気になることがあります。
ただし、担当する検査件数、指導者、症例に触れる機会、練習時間など、学ぶ条件は一人ひとり異なります。
同じ時期に始めていても、経験している内容まで同じとは限りません。
周囲との差だけを見るのではなく、以前の自分と比べて、
- 説明できる内容が増えたか
- 迷う場所を具体的に言えるようになったか
- 以前は分からなかった操作の理由を説明できるか
- 次に確認することを自分で決められるか
といった変化も確認してみましょう。
知識と実技は、分けて確認してから結びつける
すべての知識を覚えてからでなければ、実技を始められないわけではありません。
必要な基礎知識を確認しながら実際の操作も行い、その二つを少しずつ結びつけていく方法があります。
知識は「自分の言葉で説明できるか」で確認する
教科書を読むだけでは、どこまで理解できているか分かりにくいことがあります。
一つの検査について、
- 何を確認する検査なのか
- どのような原理なのか
- 正常ではどのような結果になるのか
- 代表的な異常には何があるのか
- 結果に影響する条件には何があるのか
を、自分の言葉で説明してみます。
最初から細かな疾患まですべて覚えるのではなく、まず正常と基本を確認し、必要になった内容を追加していきます。
実技は、確認する操作を一つに絞る
実技には、教科書だけでは分かりにくい部分があります。
たとえばエコーでは、解剖、プローブ操作、装置設定、呼吸、体位、画像、計測までを一度に意識すると、どこで迷っているのか分からなくなることがあります。
そのため最初は、
- プローブの持ち方を確認する
- 基本断面を一つ確認する
- 臓器を連続して追ってみる
- 深度やゲインを調整する
- 計測位置を確認する
というように、練習する内容を分けます。
一つずつ確認すると、「どこまでは分かるのか」「次は何を確認したいのか」も整理しやすくなります。
超音波検査を初めて学ぶ方は、エコー初心者が基礎から進める学習ロードマップも参考にしてください。
知識と実技をつなげる時間もつくる
知識と実技をそれぞれ確認したら、次は実際の画像や検査結果と結びつけて考えます。
- 正常画像を見ながら解剖を説明する
- 実技で確認した画像について、どの断面なのか説明する
- うまくいかなかった理由を「知識」と「操作」に分ける
- 次に確認することを一つ決める
たとえば腹部エコーで胆のうをうまく描出できなかったとします。
胆のうの位置や周囲解剖が曖昧であれば、まず知識を確認します。
位置関係は分かっているのに見つけられないのであれば、プローブ位置、角度、走査方向、呼吸、体位などを確認します。
「できなかった」で終わらず、どの部分で迷ったのかまで分けると、次の練習内容を決めやすくなります。
忙しいときは、「勉強時間」より「確認する内容」を決める
仕事をしながら毎日長時間勉強するのは簡単ではありません。
その場合は、「今日は何時間勉強するか」ではなく、「今日は何を確認するか」を決める方法があります。
たとえば、
- 肝臓の基本断面を確認する
- 胆のうの長軸像と短軸像を見直す
- 代表的な不整脈を3種類説明する
- 検体不良の原因を5つ確認する
- 検査前の準備手順を振り返る
というように、終わりが分かる内容にします。
「腹部エコーを勉強する」よりも、「今日は胆のうの基本断面を確認する」と決めた方が、何をするのか明確になります。
一度に複数分野へ手を広げず、テーマを絞る
血液、心電図、エコーなどを同時に進めようとすると、学習内容が散らばることがあります。
そのような場合は、一定期間だけテーマを一つに絞る方法もあります。
一週間の学習例
- 1日目:検査の目的と正常を確認する
- 2日目:代表的な異常を確認する
- 3日目:画像や波形を見る
- 4日目:一つの操作を確認する
- 5日目:実際の業務で確認した内容を意識する
- 6日目:迷った部分を振り返る
- 7日目:次に確認する内容を決める
毎日同じ量を行う必要はありません。
その日の勤務や生活に合わせて、確認する内容を調整します。
教材を増やす前に「何を解決したいか」を確認する
勉強が進まないと、新しい参考書や動画を探したくなることがあります。
ただ、教材を増やしても、今困っていることと内容が合っていなければ解決しない場合があります。
まずは目的を確認してみましょう。
- 基礎知識を整理したい
- 画像や症例を多く見たい
- 試験対策をしたい
- 実際の操作を確認したい
- 自分の手元を誰かに見てもらいたい
基礎知識を確認したいなら教科書や講義。
画像を多く見たいなら症例教材。
操作を確認したいなら、実際に手を動かせる環境。
教材を増やす前に、今の課題と学習方法が合っているかを確認しましょう。
超音波検査の教材や学ぶ順番については、エコー初心者の勉強方法と教材の選び方も参考にしてください。
自分では気づきにくい実技のつまずきは、手元を見てもらう
知識は、自分で調べて整理できる内容もあります。
一方、実技では、自分では原因に気づきにくいことがあります。
たとえば、
- 何度練習しても同じ臓器で迷う
- プローブをどちらへ動かせばよいか分からなくなる
- 画像は出ているが、どの操作を変えればよいか分からない
- 患者さんが変わると同じ断面で迷う
- 職場で質問する機会が少ない
- ブランクがあり、どこから確認すればよいか分からない
こうした場合は、実際の操作を見てもらうことで、プローブ位置、角度、回転、圧など、どの部分を確認すればよいのか分かることがあります。
職場で確認できるのであれば、先輩や指導者に手元を見てもらいます。
職場だけでは確認する時間を確保しにくい場合は、外部の実技研修を利用する方法もあります。
自分で調べる内容と、実際の操作を見てもらう内容を分けて考えてみましょう。
教えてくれる人が少ない環境での学び方については、臨床検査技師が一人で勉強を続けるときの考え方も参考にしてください。
実技のあとは「次に何を確認するか」まで決める
練習後に「今回もうまくできなかった」で終わると、次に何を変えればよいか分かりにくくなります。
その場合は、次の3つを振り返ります。
- 今回確認できたこと
- まだ迷っていること
- 次回確認すること
確認する内容を一度に増やす必要はありません。
今回はプローブ位置。
次は呼吸の使い方。
というように、一つずつ分けると次の練習につなげやすくなります。
SASHIでは、今のつまずきに合わせて必要な実技を確認します
SASHI合同会社では、医療従事者向けの超音波検査マンツーマン実技レッスンと、医療機関向け法人研修を行っています。
個人向けレッスンでは、全員が同じ内容を同じ順番で進めるわけではありません。
「まだほとんどプローブを持ったことがない」
「職場で教えてもらっているけれど、同じ断面で迷う」
「基本断面は出せるが、計測になると分からなくなる」
「いつも同じ臓器を探す途中で止まる」
など、受講者によって確認したい内容は異なります。
SASHIでは、「何を目指したいのか」「今どこまで確認できているのか」「どこで止まっているのか」を整理しながら、必要な実技内容を考えます。
原因が自分では分からない場合も、実際にプローブを持ち、手元と画面を見ながら現在のつまずきを確認できます。
個人向けの実技については、マンツーマンの超音波検査個人レッスンをご確認ください。
施設内での教育やスタッフ向けの実技研修については、医療機関向け超音波検査研修をご覧ください。
臨床検査技師の勉強についてよくある疑問
臨床検査技師の勉強はなぜ難しいのですか?
学ぶ分野が広く、知識だけでなく、検査結果・画像・波形の理解や実際の操作まで確認する必要があるためです。
すべてを「勉強不足」と考えず、知識、読み取り、操作、経験、環境のどこで困っているのかを分けてみましょう。
知識と実技はどちらから勉強すればよいですか?
必要な基礎知識を確認しながら、実技も並行して進める方法があります。
知識をすべて覚えてから実技を始めるのではなく、今の業務や目標に必要な範囲から少しずつ結びつけていきます。
仕事をしながら勉強を続けるには、どうすればよいですか?
「何時間勉強するか」より、「今日は何を確認するか」を小さく決める方法があります。
今の仕事で必要なテーマを一つに絞ると、学習内容を決めやすくなります。
エコーを勉強しても実技がうまくいかないときはどうすればよいですか?
「エコーができない」とまとめず、どの操作で止まっているのかを確認します。
解剖、画面方向、プローブ位置、角度、回転、圧、呼吸、体位、装置設定などに分けると、次に確認する内容を決めやすくなります。
まとめ|臨床検査技師の勉強が難しいときは、つまずきを具体的にする
臨床検査技師の仕事では、幅広い知識と、実際の検査で使う操作や考え方を少しずつ結びつけていきます。
勉強が進まないときに、「自分は勉強ができない」とまとめる必要はありません。
知識が曖昧なのか。
画像や結果を見ると迷うのか。
操作が思うようにいかないのか。
それとも、そもそも練習・質問できる機会が少ないのか。
今のつまずきを具体的にすると、次に確認することも決めやすくなります。
全部を一度に進めるのではなく、今困っている内容を一つずつ確認していきましょう。
超音波検査の学び方を相談したい方へ
現在の経験、苦手な走査、学びたい領域を確認し、一人ひとりに合う練習方法やレッスンをご案内します。
LINEで学習相談をする受講前の相談だけでも可能です。現在の経験や目標に合わせてご案内します。