駆出率(EF)について

用語集

駆出率(EF:Ejection Fraction)

駆出率(EF)とは

駆出率(EF:Ejection Fraction)とは、
心室に入った血液のうち、
収縮によってどれだけ拍出されたかを割合(%)で示した指標です。
心エコー検査において、
左室収縮機能を評価する最も基本的な指標として用いられます。

EFの基本的な考え方

心臓は、

  1. 拡張期:血液をためる
  2. 収縮期:血液を送り出す

という働きを繰り返しています。

EFは次の式で表されます。

EF(%)=(拡張末期容量 − 収縮末期容量) ÷ 拡張末期容量 × 100

つまり、心室に入った血液量と
収縮後に残った血液量から算出されます。

用語整理

EDV(End-Diastolic Volume)
拡張末期容量。心室に最も血液が満たされた状態。

ESV(End-Systolic Volume)
収縮末期容量。収縮後に心室内へ残った血液量。

正常値の目安

一般的な左室EFの評価目安は以下です。

EF値評価
55〜70%正常
50%前後軽度低下
40〜49%中等度低下
<40%収縮機能低下
<30%重度低下

施設やガイドラインにより基準は多少異なります。

EFが低下する主な原因

・心筋梗塞
・拡張型心筋症
・重症弁膜症
・心不全(HFrEF)
・心筋炎

EF低下は、心臓のポンプ機能低下を意味します。

EFが保たれる心不全

EFが正常範囲でも心不全は存在します。

HFpEF(EF保持型心不全)では、
収縮機能ではなく拡張障害が主体となります。

つまりEFは、心機能全体ではなく
収縮機能の一側面を評価している指標です。

測定方法(心エコー)

代表的な測定方法は以下です。

Simpson法(modified Simpson method)

・心尖部2腔像と4腔像を使用
・左室内腔をトレースして容積計算
・現在の標準的測定法

Mモード法(Teichholz法)

・左室径からEFを推定
・簡便だが左室形状の影響を受けやすい

評価時の注意点

・左室形状異常では誤差が生じやすい
・画像品質に依存する
・心拍変動の影響を受ける
・単回測定より経時的変化が重要

EFと臨床的意義

EFは以下の臨床判断に用いられます。

・心不全重症度評価
・治療方針決定
・薬物治療適応判断
・手術適応評価
・予後予測

循環器診療における最重要指標の一つです。

まとめ

駆出率(EF)とは、左心室が血液を
どれだけ効率よく送り出せているかを示す割合です。

・左室収縮機能の基本指標
・Simpson法が標準測定法
・正常値は約55〜70%
・EF正常でも心不全は存在する

EFの理解は、心エコー評価の中心概念となります。

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