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グレーティングローブとは
グレーティングローブ(Grating Lobe)とは、
アレイプローブで超音波ビームを電子的に偏向した際に、
意図した方向とは異なる方向に生じる
擬似的な音圧成分(ローブ)を指します。
このグレーティングローブからの反射信号が、
メインローブ由来の信号として誤って処理されることで、
実際には存在しない位置に虚像が描出されます。
主に電子走査を行うアレイプローブ(リニア・コンベックス・フェーズドアレイ)で
問題となる、ビーム形成に由来するアーチファクトです。
発生する原理(しくみ)
アレイプローブは、多数の微小振動子を時間差で駆動することで、
超音波ビームを任意の方向へ偏向させています。
しかし、振動子間隔や駆動条件によっては、
各振動子から放射された波が意図しない方向で
強め合い(干渉)を起こします。
その結果、メインローブとは別の方向に擬似的な
ローブ(グレーティングローブ)が形成されます。
このローブが反射体に当たると、
反射波はメインローブ由来と誤認され、
実際とは異なる位置にエコーが表示されます。
画像上の特徴
・実在しない位置に高エコー像が描出される
・画面の左右端や深部で出現しやすい
・プローブ角度や走査方向を変えると消失・変化しやすい
・実像との位置関係が不自然
サイドローブアーチファクトと似ていますが、
電子偏向時に生じる点が大きな違いです。
出現しやすい条件
・アレイプローブ使用時
・ビーム偏向角が大きい
・振動子間隔が広い条件
・ゲインが高め
・深部に強い反射体が存在する場合
特にフェーズドアレイプローブでは注意が必要です。
鑑別・注意点
サイドローブとの違い
サイドローブはビーム周囲の副次成分による反射ですが、
グレーティングローブは振動子干渉によって生じる
擬似的なローブです。
電子偏向を行っている場面で出現する虚像は、
グレーティングローブを疑います。
実在病変との鑑別
・断面を変えると消失する
・再現性が低い
・形状や位置が不自然
これらの特徴がそろう場合、
虚像の可能性が高くなります。
検査時の実践的対策
・ゲインを適正範囲に調整する
・ビーム偏向角を小さくする
・可能であれば周波数を上げる
・フォーカス位置を調整する
・他断面で必ず再確認する
これにより、
虚像を病変と誤認するリスクを低減できます。
臨床での意味
グレーティングローブは、
装置特性に由来するアーチファクトであり、
診断に直接有用な所見ではありません。
そのため、
確実に見抜いて除外すべきアーチファクトです。
一方で、
超音波ビーム形成や電子走査の理解を深めるうえでは、
重要な現象でもあります。
まとめ
グレーティングローブとは、
アレイプローブの電子偏向によって生じる
擬似的な音圧成分が原因で発生する
アーチファクトです。
原理と特徴を理解することで、
装置由来の虚像を正しく見抜き、
誤診を防ぐことができます。










