「検査を担当できる人が限られている」
「新しい人を採用したいけれど、なかなか応募がない」
「今いるスタッフに教えたいけれど、教育する時間が取れない」
病院や健診センターでは、こうした悩みを抱えることがあります。
人材不足を考えるとき、採用だけでなく、今いるスタッフが必要な実技を学べる環境をどうつくるかという視点も大切です。
この記事では、臨床検査技師のリスキリングを「人手不足を解決する方法」としてではなく、院内教育を支える一つの選択肢として整理します。
臨床検査技師のリスキリングとは?
リスキリングとは、現在の業務に加えて、新しい知識や技術を学ぶことを指します。
臨床検査技師の場合も、勤務先や役割に応じて、これまで担当していなかった検査を学ぶことがあります。
たとえば、
- 検体検査から生理機能検査へ学ぶ範囲を広げる
- 心電図などの経験をもとに超音波検査を学ぶ
- 腹部エコー経験者が心エコーを学ぶ
- ブランクのある検査をもう一度確認する
などです。
リスキリングは、単に新しい業務を増やすことではなく、その人が今後担当する可能性のある業務について、必要な知識や実技を学び直すことと考えると分かりやすくなります。
人材不足の中では、教育そのものが負担になりやすい
今いるスタッフに新しい検査を学んでもらいたいと思っても、実際には教育の時間を確保することが難しい施設もあります。
たとえば、
- 教えられるスタッフが限られている
- 通常業務と教育を同じ人が担当している
- 検査予約が多く、練習時間を取りにくい
- 見学はできても、自分で操作する時間が少ない
- 指導者によって教える内容が異なる
といった状況です。
特にエコーのような実技は、資料を渡したり、先輩の検査を見たりするだけでは確認しにくい部分があります。
人材不足の施設では、「誰に何を教えるか」だけでなく、「どこまで院内で教え、どこから外部を使うか」を整理することも必要です。
リスキリングを始める前に、必要な業務を明確にする
「とりあえず新しい検査を覚えてもらう」という進め方では、本人にも指導者にも負担がかかります。
まずは、施設として何が必要なのかを整理してみましょう。
- 今、誰に業務が集中しているのか
- 今後どの検査を担当できる人を増やしたいのか
- どの程度まで学んでもらいたいのか
- 院内で教えられる内容は何か
- 外部で実技を確認した方がよい内容は何か
たとえば、「腹部エコーを担当できる人を増やしたい」という場合でも、
基本操作から学ぶのか、
基本断面を安定して描出するところまでなのか、
すでに経験がある人の苦手部分を確認するのか
によって研修内容は変わります。
まずは施設側の課題と、受講するスタッフの現在地を分けて確認することが大切です。
エコーのリスキリングでは「実際にプローブを持つ時間」が必要
超音波検査を新しく学ぶ場合、知識だけでなく実技練習も必要です。
実際の操作では、
- プローブを置く位置
- 角度
- 回転
- 圧のかけ方
- 動かす方向
- 基本断面
- 計測
- 呼吸や体位変換
- ゲインやフォーカスなどの装置設定
などを確認します。
見学では分かったつもりでも、自分でプローブを持つと、どちらへ動かせばよいか迷うことがあります。
だからこそ、実技を学ぶ場合は「見る時間」だけでなく、「自分で操作する時間」があるかを確認することが大切です。
「できる・できない」ではなく、今の段階を確認する
エコーの習熟は、一度の研修で完成するものではありません。
たとえば、
- 装置操作は分かる
- 基本断面は一部描出できる
- 特定の臓器で迷う
- 患者さんが変わると再現できない
- 計測や装置設定で助言が必要
というように、現在地は人によって違います。
研修後も、
「今回確認できたこと」
「まだ迷っていること」
「院内で次に練習すること」
を整理しておくと、その後の教育につなげやすくなります。
リスキリングでは、短期間で一人前にすることより、今の段階から次に何を練習するかを明確にすることが重要です。
院内で教えることと、外部研修で確認することを分ける
すべての教育を院内で行う必要はありません。
一方で、すべてを外部研修に任せるものでもありません。
院内で確認したいこと
- 施設独自の検査手順
- 保存する画像や計測項目
- 報告方法
- 電子カルテや検査システムの操作
- 院内での役割分担
外部研修で確認しやすいこと
- プローブの基本操作
- 位置・角度・回転・圧
- 基本断面
- 装置設定
- 呼吸や体位変換
- 苦手な臓器や断面の反復練習
院内でしか伝えられない内容は職場で教え、時間をかけて操作を確認したい部分は外部研修を使う。
教育を分担することで、一部の指導者に負担が集中しにくい形を考えることができます。
リスキリングだけで、人材不足が解決するわけではない
臨床検査技師のリスキリングは、院内教育を考える一つの方法です。
ただし、研修を行えば、
- 検査枠が必ず増える
- 外注費が必ず減る
- 離職率が下がる
- 採用が不要になる
というものではありません。
実際の運用には、
- 人員配置
- 勤務時間
- 設備
- 検査件数
- 教育時間
- 院内の役割分担
なども関係します。
リスキリングは、人材不足を直接解決するものではなく、「今いるスタッフが学ぶための環境をどうつくるか」という教育面の選択肢として考えましょう。
人材開発支援助成金を利用できる場合もあります
法人で研修を実施する場合、事業所や受講者、研修内容などが制度の要件を満たせば、人材開発支援助成金を利用できる可能性があります。
ただし、すべての研修が対象になるわけではありません。
制度内容や申請条件は変更されることもあるため、利用を検討する際は、厚生労働省の最新情報や社会保険労務士などの専門家へ確認してください。
SASHIでは、院内教育の一部としてエコー実技研修を行っています
SASHI合同会社では、病院やクリニック、健診施設などを対象に、超音波検査の法人向け実技研修を行っています。
SASHIの研修だけで人材不足を解消したり、短期間で即戦力を育てたりするものではありません。
役割は、院内だけでは確保しにくいエコー実技教育の一部を支えることです。
たとえば、
- エコーを学びたいスタッフがいる
- 院内で指導できる人が限られている
- 通常業務の中ではプローブを持つ時間を確保しにくい
- 特定の臓器や断面でつまずいているスタッフがいる
- 新人・未経験者に何から教えるか整理したい
といった場合に相談できます。
研修前に、受講者の経験、苦手な操作、施設で必要な領域などを確認します。
研修当日は、プローブ操作、基本断面、計測、装置設定、呼吸、体位変換など、必要な内容を実際に手を動かしながら確認します。
研修後は、院内で次にどの内容を練習するのかも整理します。
法人研修で大切なのは「研修を受けた後」
外部研修を利用するときも、受講したこと自体をゴールにしないことが大切です。
研修後には、
- 今回確認できたこと
- まだ助言が必要な操作
- 院内で繰り返す内容
- 誰が次の練習を確認するか
などを整理しておくと、その後の教育につながります。
外部研修で確認した内容を、院内でどう続けていくかまで考えることが、リスキリングを進めるうえで重要です。
まとめ|人材不足の中でも、学べる環境をどうつくるかを考える
臨床検査技師の人材不足に悩んでいると、どうしても採用へ意識が向きます。
ただ、採用と並行して、現在働いているスタッフの中に、学びたい人がいないかを確認することも一つの方法です。
まずは、
- 施設で今後必要な検査は何か
- 誰がその分野を学びたいのか
- 今どこまで経験しているのか
- 院内で教えられる内容は何か
- 外部で確認したい実技は何か
を整理してみましょう。
リスキリングを「即戦力を作る方法」と考えるのではなく、今いるスタッフが次に必要なことを学べる環境づくりとして考える。
その中で、院内だけでは難しい実技教育があれば、外部研修を組み合わせる方法もあります。
エコー実技教育を院内だけで抱えている医療機関へ
「エコーを学びたいスタッフはいるけれど、教える時間がない」
「指導できる人が限られている」
「今のスタッフに必要な実技を整理したい」
SASHIでは、施設で必要な領域と受講者の現在地を確認しながら、必要な実技研修を一緒に整理できます。
院内の超音波検査教育を整えたい医療機関へ
現在の教育体制、対象領域、受講者の経験を確認し、現場に合う法人研修や育成計画をご提案します。
法人研修について相談する受講前の相談だけでも可能です。現在の経験や目標に合わせてご案内します。