頸動脈エコー算定で迷わない現場判断|パルスドプラ・再検査・訪問時の確認手順

頸動脈エコー算定を現場で確認するための実務記事です。D215の基本区分に加え、パルスドプラ法加算、同一月の再検査、訪問診療時、記録の照合手順を整理します。

公開: 約14分

頸動脈エコーを実施した後、「カラードプラを使ったので追加項目があるのか」「パルスドプラを測定した場合は何を確認するのか」「同じ月に再検査したら一律に90%なのか」と迷うことがあります。検査室では実施内容を把握していても、請求上の項目名と一致しないことがあり、担当者間の確認が必要です。

2026年7月28日時点、令和8年度診療報酬改定後の現行資料では、一般的な頸動脈の断層撮影法はD215 2 ロ(3)「その他(頭頸部、四肢、体表、末梢血管等)」350点を基本に確認します。ただし、ここから先は、パルスドプラ法の実施、同一月の回数、訪問診療の該当性によって分岐します。

この記事では、点数を覚えることよりも、検査記録と算定候補をどう照合するかに重点を置きます。個別患者の請求可否や診療上の判断を示すものではなく、医療従事者が施設内で確認するための教育情報です。

この記事の結論

頸動脈エコー算定の現場判断では、最初に「どの部位を、どの方法で、どの診療形態で行ったか」を確定し、その後にD215の基本区分、パルスドプラ法加算、同一月の回数、訪問診療時の条件を順に照合します。一般的な断層撮影法はD215 2 ロ(3)の350点を基本に確認しますが、パルスドプラ法を実施した場合はD215 2の150点加算の可否を別に確認します。一方、カラードプラを表示しただけでD215 4のドプラ法を算定する、あるいは患者宅で実施したから訪問診療時区分にする、といった短絡的な判断は避けます。最終的な請求は、確認時点の点数表・通知、レセプトシステム、施設の運用を医事担当者と照合してください。

この記事でわかること

  • 一般的な頸動脈エコーをD215 2 ロ(3)350点から確認する理由
  • カラードプラ表示、パルスドプラ法、D215 4のドプラ法を混同しない整理方法
  • 同一月の再検査で90%算定を確認する際の照合項目
  • 訪問診療時400点と、患者宅での検査を分けて考える方法
  • 検査担当者と医事担当者が共有しやすい記録チェックリスト

最初に見るべき情報は「検査名」ではなく実施内容

算定確認の起点は、電子カルテ上の検査名だけでなく、実際に行った部位・方法・診療形態です。まず「頸動脈を対象に断層撮影法を行ったか」「パルスドプラ法を実施したか」「外来・入院・訪問診療のどれか」を確定します。

頸動脈エコーという呼び方は、Bモードで血管壁やプラークを観察する場合から、カラードプラで血流を表示し、パルスドプラで速度や波形を測定する場合まで含み得ます。検査室のプロトコル名だけでは、診療報酬上の項目を特定できないことがあります。

確認時点は2026年7月28日です。令和8年度診療報酬改定後の現行資料では、一般的な頸動脈の断層撮影法はD215 2 ロ(3)「その他(頭頸部、四肢、体表、末梢血管等)」350点を基本に確認します。これは頸動脈専用の独立項目ではなく、頭頸部を含む区分として整理するものです。

したがって、検査終了後は、依頼内容、実施プロトコル、画像・計測記録、診療形態を並べてから請求区分を検討します。検査名だけを見て下肢血管や胸腹部の区分に置き換えないことも重要です。

  • 対象部位:総頸動脈、分岐部、内頸動脈など、実際に評価した範囲
  • 方法:Bモード、カラードプラ、パルスドプラなど
  • 診療形態:外来、入院、訪問診療時の検査か
  • 回数:同一患者・同一月に何回目か
  • 記録:実施方法と結果が診療録・検査記録から確認できるか
算定確認の最初の分岐
確認する軸 現場で見る情報 判断を急がない理由
部位 頭頸部の頸動脈か、他部位を同時に見たか 部位区分が変わる可能性があるため
検査方法 断層撮影法に加えてパルスドプラ法を行ったか 加算の確認に関係するため
診療形態 外来・入院・訪問診療時のいずれか 訪問診療時の区分には条件があるため
実施回数 同一月の同一検査の回数 2回目以降の扱いを確認するため

具体例

  • 外来で両側頸動脈をBモード中心に評価し、カラードプラを表示した場合は、まずD215 2 ロ(3)の基本区分を確認します。左右両側を観察したことだけで、下肢血管の区分になるわけではありません。

注意点

  • 350点は診療報酬上の検査料であり、患者の窓口負担額や健診・自費検査の料金そのものではありません。
  • 点数や通知は改定されるため、請求時には最新の公式資料を確認してください。

例外・適用できないケース

  • 訪問診療時、血管内超音波法、脳動脈を対象とする検査などは、一般的な頸動脈断層撮影法の整理をそのまま適用できません。

パルスドプラ法加算と「ドプラ法」を分けて照合する

カラードプラを使っただけの場合と、パルスドプラ法を実施した場合、D215 4のドプラ法に該当する検査を行った場合は、別々に確認します。D215 2の断層撮影法について実際にパルスドプラ法を行った場合は、現行点数表の注記に基づき、パルスドプラ法加算150点の算定可否を確認します。

カラードプラは血流の方向や分布を色で表示する機能です。パルスドプラ法は、設定した位置の血流速度や波形を測定する方法です。検査上の機能として関連していても、算定上は同じ項目ではありません。

D215 2には、断層撮影法についてパルスドプラ法を行った場合の150点加算が示されています。一方、D215 4には、胎児心音観察、末梢血管血行動態検査、脳動脈血流速度連続測定、脳動脈血流速度マッピング法など、対象や目的が異なる項目があります。

「ドプラ機能を使った」という一文だけでは、どの項目を確認すべきか決まりません。実際にパルスドプラ法を行った部位、測定値や波形の記録、検査目的を確認し、D215 2の加算とD215 4の項目を混同しないようにします。

  • カラードプラ表示のみ:表示した事実だけでD215 4を自動算定しない
  • パルスドプラ法:実施部位・測定内容を確認し、D215 2の150点加算を検討する
  • 脳動脈血流速度連続測定・マッピング法:頸動脈通常検査とは対象と方法を分ける
  • 検査記録:速度、波形、測定部位が残っているかを確認する
超音波検査上の方法と算定確認の対応
実施内容 検査上の意味 算定確認
Bモード 血管壁やプラークを画像で評価 D215 2の断層撮影法を基本に確認
カラードプラ 血流の方向・分布を色で表示 表示だけでD215 4を自動算定しない
パルスドプラ法 指定位置の速度・波形を測定 D215 2のパルスドプラ法加算150点を確認
D215 4の各項目 対象・目的が定められたドプラ法 頸動脈通常検査への適用を個別に照合

具体例

  • 頸動脈分岐部をBモードで観察し、カラードプラで血流を確認しただけなら、D215 4の項目を機械的に追加しません。パルスドプラで特定部位の速度・波形を測定した場合は、その実施記録を確認してD215 2の加算を検討します。

注意点

  • パルスドプラ法加算150点の算定可否は、実際の実施内容と現行の点数表・通知を照合して判断します。
  • 検査機器のプリセット名や画面表示だけを根拠にせず、実施した測定と記録を確認してください。

例外・適用できないケース

  • 脳動脈血流速度連続測定、脳動脈血流速度マッピング法、血管内超音波法などは、一般的な頸動脈エコーの血流測定とは別に扱う必要があります。

同一月の再検査は「目的が違う」だけで分けない

同一患者に同一月内で同一検査を2回以上行った場合は、2回目以降を所定点数の100分の90に相当する点数で算定する扱いを確認します。目的が違うという理由だけで、直ちに別検査と判断しないことが実務上の注意点です。

D215の通則では、同一患者について同一月に同一検査を2回以上実施した場合、2回目以降は所定点数の90%相当とされています。350点を単純計算すると315点ですが、実際の請求では同一検査に該当するか、他の算定項目との関係、レセプトシステムの処理を確認します。

再検査の理由が経過観察、症状変化、術前・術後確認などであっても、その事情だけで90%ルールの対象外になるとは限りません。検査部位、方法、算定項目、実施日、診療録を照合して判断します。

検査室は実施日と方法を記録し、医事担当者は同一月の請求履歴と照合するという役割分担にすると、目的の違いだけで処理するリスクを減らせます。

  • 同一患者か
  • 同一月の実施か
  • 同一検査として扱う内容か
  • 基本区分やパルスドプラ法加算の有無が同じか
  • 再検査の医学的背景が診療録から確認できるか
再検査で照合する情報
確認項目 検査室側の記録 医事担当者側の確認
実施日 検査日、左右、評価範囲 同一月の請求回数
方法 Bモード、カラードプラ、パルスドプラ 基本区分と加算候補
対象 総頸動脈、分岐部、内頸動脈など 同一検査に該当するか
背景 依頼目的、前回比較、再検査理由 診療録・請求内容との整合

具体例

  • 月初に頸動脈エコーを行い、月末に再度評価した場合、まず同一患者・同一月・同一検査の条件を確認します。急変や術前確認という理由があっても、目的の違いだけで別検査と処理せず、実施内容と通知を照合します。

注意点

  • 315点は350点の90%を単純計算した例です。個別の請求可否や電算処理を保証する数字ではありません。

例外・適用できないケース

  • 対象部位、検査方法、算定項目が明確に異なる場合は、同一検査に当たるかを別途確認します。判断に迷う場合は、施設の医事責任者や審査・請求の確認窓口に相談してください。

頸動脈エコーの実施記録と算定確認を、施設の運用に合わせて整理する

SASHIエコーラボでは、臨床検査技師や医療従事者向けに、頸動脈エコーを含む超音波検査の実技指導、医療機関向け法人研修、教育体制づくりの相談を行っています。算定の最終判断や患者さんの診療相談ではなく、検査手順・記録・スタッフ教育を整理したい医療機関や検査担当者向けの相談窓口です。

研修・学習体制について相談する受講前の相談だけでも可能です。現在の経験や目標に合わせてご案内します。

訪問診療時400点は場所や機器だけで決めない

患者宅や施設でポータブル装置を使っただけでは、D215 2 イの訪問診療時の断層撮影法に自動的に該当しません。診療報酬上の訪問診療時に行った検査か、月1回の扱いを含めて確認します。

現行資料では、D215 2 イに訪問診療時の断層撮影法400点が示され、訪問診療時に行った場合は月1回に限る扱いが記載されています。ここでいう訪問診療時の区分と、単に患者宅で検査したという事実は同じではありません。

確認では、訪問診療としての診療形態、医師の診療との関係、検査の実施日、月内の算定回数、診療録と検査記録の整合を見ます。ポータブル装置の使用は実施環境の情報ですが、それだけで算定区分を決定する根拠にはなりません。

在宅での運用を始める施設では、検査依頼、訪問診療の記録、画像保存、報告、請求確認の担当者をあらかじめ決めておくと、現場と医事の認識差を減らせます。

  • 訪問診療として実施されたか
  • 医師の訪問診療との関係が記録されているか
  • 同月の算定回数が月1回の扱いと整合するか
  • 患者宅・施設での実施記録があるか
  • ポータブル装置の使用を区分の唯一の根拠にしていないか
訪問時の検査で分ける情報
情報 意味すること 注意点
患者宅・施設で実施 実施場所 訪問診療時区分を直ちに意味しない
ポータブル装置 使用機器 機器の可搬性だけでは算定区分は決まらない
訪問診療の一環 診療形態との関係 診療録や実施記録との照合が必要
月1回の扱い 回数制限の確認 同月の請求履歴を確認する

具体例

  • 訪問先でポータブル装置を用いて頸動脈を観察した場合、まず訪問診療として行われた検査かを確認します。「訪問先で実施した」「ポータブル装置を使った」という2点だけで400点と判断しないことがポイントです。

注意点

  • 訪問診療時の区分は、実施場所や装置の種類ではなく、点数表上の条件と施設の診療体制に照らして確認します。

例外・適用できないケース

  • 往診、訪問診療、施設内での検査委託など、診療形態が異なる場合は同じ扱いとは限りません。

請求前に行う5分間の照合チェック

請求前は、検査記録と診療録を見ながら、①部位、②方法、③診療形態、④回数、⑤根拠の記録を順に確認します。担当者が一人で判断を完結させず、検査室と医事課で情報を共有することが重要です。

D215は記録に要する費用を含むとされています。これは、記録作成費を別に追加するという意味ではありません。一方で、算定の確認に必要な実施内容や診療との関係が、記録から読み取れる状態にしておくことは実務上有用です。

検査報告書には、検査日、対象部位、左右、評価範囲、Bモード所見、カラードプラの実施、パルスドプラの測定部位、速度・波形、観察困難部位などを、施設の様式に合わせて記載します。診療録側では、症状や傷病名、検査目的、診療上の必要性、結果の扱いを確認します。

これらはすべての症例に同じ形式で必須と断定するチェックリストではありません。施設の記録基準、最新の通知、監査・審査への対応方針に合わせて運用してください。

  • 検査名と実施方法が一致しているか
  • パルスドプラを実施した場合、測定部位と結果が残っているか
  • 同一月の回数を確認したか
  • 訪問診療時の条件を記録と照合したか
  • 請求候補と診療録・検査報告書に矛盾がないか
検査室と医事担当者の共有項目
検査室が伝える情報 医事担当者が確認する情報
対象部位・左右・評価範囲 D215の部位区分
Bモード・カラードプラ・パルスドプラの実施状況 基本点数とパルスドプラ法加算の候補
測定値・波形・画像保存の有無 算定内容との整合
実施場所・診療形態に関する情報 訪問診療時区分の条件と回数
検査日と前回検査との関係 同一月の同一検査の扱い

具体例

  • 医事担当者から「ドプラあり」と問い合わせが来た場合、検査担当者は「カラードプラ表示のみ」なのか「パルスドプラで速度・波形を測定した」のかを回答します。この言葉の置き換えだけでも、確認すべき項目が変わります。

注意点

  • 基準値や血流速度の評価は、装置、測定条件、対象者、施設手順、参照するガイドラインなどで異なります。算定記事の記録例を診断基準として使用しないでください。
  • 患者個人の診断・治療・予後の判断は、担当医の診療と施設の基準に従ってください。

例外・適用できないケース

  • 請求可否に疑義がある場合は、公開資料だけで断定せず、医事責任者、契約するレセプトシステムの資料、必要に応じて審査支払機関などに確認してください。

よくある質問

Q1. 頸動脈エコーは何点で算定するのが基本ですか?

A. 2026年7月28日時点の現行資料では、一般的な頸動脈の断層撮影法はD215 2 ロ(3)「その他(頭頸部、四肢、体表、末梢血管等)」350点を基本に確認します。訪問診療時、パルスドプラ法、同一月の複数回実施などは別に条件を確認してください。

Q2. カラードプラを使ったらドプラ法を追加できますか?

A. カラードプラを表示しただけで、D215 4のドプラ法を自動的に追加できるとは限りません。実際にパルスドプラ法で速度や波形を測定した場合は、D215 2のパルスドプラ法加算150点の算定可否を確認します。両者は分けて整理してください。

Q3. パルスドプラ法加算は頸動脈でも確認できますか?

A. D215 2の断層撮影法について、実際にパルスドプラ法を行った場合は、現行点数表の注記に基づき150点加算の可否を確認します。実施部位、測定内容、記録、最新の通知を照合して最終判断してください。

Q4. 同じ月に頸動脈エコーを2回行った場合、2回目は315点ですか?

A. 350点の90%を単純計算すると315点です。D215の通則では同一患者に同一月内で同一検査を2回以上行った場合、2回目以降を所定点数の90%相当とする扱いを確認します。ただし、同一検査に当たるか、実施方法や算定項目がどう構成されるかを確認してから請求してください。

Q5. 患者宅でポータブルエコーを行えば400点ですか?

A. 患者宅や施設でポータブル装置を使っただけで、訪問診療時の400点になるとは限りません。診療報酬上の訪問診療時に行った検査か、月1回の扱いを含めて、診療形態・記録・請求履歴を確認します。

Q6. 検査報告書に何を書けば算定できますか?

A. 一律の記載項目をこの記事だけで断定することはできません。実務上は、検査日、対象部位と左右、評価範囲、実施した方法、パルスドプラの測定部位と結果、観察困難部位などを記録し、診療録側の検査目的や診療との関係と照合します。施設基準や最新の公式資料に合わせて運用してください。

まとめ

この記事の要点

  • 一般的な頸動脈の断層撮影法は、D215 2 ロ(3)350点を基本に確認する。
  • カラードプラ表示とパルスドプラ法は、検査上も算定上も同じ意味ではない。
  • パルスドプラ法を実施した場合は、D215 2の150点加算の可否を確認する。
  • 同一月の再検査は、目的の違いだけで自動的に別検査と判断しない。
  • 訪問先やポータブル装置という事実だけでは、訪問診療時400点とは決まらない。
  • 請求前に、実施内容・診療形態・回数・記録を検査室と医事担当者で照合する。

参考資料

  1. 診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)厚生労働省

    参照内容:D215の断層撮影法、頭頸部等を含むその他350点、訪問診療時400点、パルスドプラ法加算、同一月の複数回実施時の扱いを確認する根拠。

  2. 令和8年度診療報酬改定について厚生労働省

    参照内容:令和8年度診療報酬改定に関する公式情報を確認するための資料。

  3. 診療報酬情報提供サービス厚生労働省

    参照内容:診療報酬の現行情報や関連資料を確認するための公式窓口。


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sashi

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