心エコーのE/Aとは?拡張能評価で迷いやすい見方を初心者向けに解説

公開: 更新: 約8分

「心エコーのE/Aって何?」

「E/Aが高い・低いと、何が違う?」

E/Aは、僧帽弁を通って左房から左室へ流れ込む血流を、パルスドプラで記録したときに確認する指標です。

E波とA波という2つの波を使って、拡張期に左室へどのように血液が流れ込んでいるのかを見ます。

ただし、E/Aだけで左室拡張能の正常・異常を判断するものではありません。

この記事では、E波・A波が何を表しているのか、E/Aの基本的な考え方、測定するときに押さえておきたいポイントを解説します。

E/Aとは?

E/Aは、僧帽弁流入血流のE波とA波の速度の比です。

心尖部四腔像などからパルスドプラを使って僧帽弁流入血流を記録すると、拡張期にE波とA波が観察されます。

E/Aは、

E/A = E波速度 ÷ A波速度

として求めます。

まずはE波とA波が、それぞれ何を表しているのかを理解することが基本です。

E波とは?

E波は、拡張早期に左房から左室へ血液が流れ込むときに生じる波です。

収縮を終えた左室が拡張すると、僧帽弁が開き、左房から左室へ血液が流れ込みます。

この拡張早期の流入を反映するのがE波です。

ただし、E波は左室の弛緩だけで決まるわけではありません。

左房圧などの影響も受けるため、「E波が高い=拡張能が良い」と単純に判断しないことが大切です。

A波とは?

A波は、拡張後期に心房が収縮し、左房から左室へ血液を送り込むときに生じる波です。

E波が拡張早期の流入を表すのに対し、A波は心房収縮による流入を反映します。

そのため、心房収縮が一定していない場合には、A波を通常どおり評価できないことがあります。

まず覚えたい基本

E波:拡張早期に左室へ流れ込む血流

A波:心房収縮によって左室へ流れ込む血流

E/Aはどのように見る?

E/Aを見るときは、比率だけではなく、E波とA波の関係を確認します。

たとえば、左室の弛緩が低下すると、拡張早期の流入が少なくなり、E波が低くなることがあります。

その一方で、心房収縮による流入の割合が相対的に大きくなり、A波が高くなる場合があります。

その結果、E/Aが低くなることがあります。

一方で、左房圧などの影響によってE波が高くなり、E/Aが一見保たれているように見える場合もあります。

そのため、

「E/Aが低い=異常」「E/Aが正常に見える=問題ない」

と、一つの数値だけで判断することはできません。

E/Aは年齢の影響も受ける

E/Aは年齢によっても変化します。

加齢に伴って左室の弛緩が変化すると、E波が低くなり、A波の割合が相対的に大きくなることがあります。

そのため、高齢者では若年者と比べてE/Aが低くみられることがあります。

E/Aを評価するときは、年齢などの背景もあわせて確認することが大切です。

心房細動ではE/Aをそのまま使えない

A波は心房収縮によって生じる波です。

そのため、心房細動では通常のような一定した心房収縮がなく、E波とA波の比としてE/Aを評価することはできません。

E/Aを見るときは、波形だけでなく心拍リズムも確認しましょう。

E/Aは単独で左室拡張能を判断しない

E/Aは、左室拡張能を考えるときに使う指標の一つです。

ただし、実際の拡張能評価ではE/Aだけを使って判断するわけではありません。

僧帽弁輪のe’やE/e’、左房容積など、ほかの心エコー所見も合わせて確認します。

ここで大切なのは、細かな数値を一つずつ暗記することではありません。

E/Aは「左室に血液がどのように流れ込んでいるかを見る指標の一つ」であり、単独で拡張能を決めるものではないと理解しておきましょう。

左室拡張能全体について確認したい場合は、左室拡張能について整理したページも参考にしてください。

E/Aはどのように測定する?

E/Aは、僧帽弁流入血流をパルスドプラで記録して測定します。

心尖部四腔像で僧帽弁流入血流を確認し、僧帽弁尖端付近にサンプルボリュームを置いてE波とA波を記録します。

測定するときは、

  • 僧帽弁流入血流を適切に捉えているか
  • サンプルボリュームの位置は適切か
  • E波とA波が明瞭に記録されているか
  • 安定した波形が得られているか

などを確認します。

数値を見る前に、測定に使える波形を記録できているかを確認することが大切です。

E/Aで混同しやすいポイント

「E波=左室拡張能そのもの」
→ E波は左室弛緩だけでなく、左房圧などの影響も受けます。

「E/Aが低い=必ず異常」
→ 年齢などの影響もあるため、単独では判断しません。

「E/Aが正常なら拡張能も正常」
→ E/Aが正常に見えても、ほかの所見を合わせて評価する必要があります。

「心房細動でもE/Aを測れる」
→ A波を通常どおり評価できないため、E/Aとしての評価はできません。

E/Aを学ぶときに押さえておきたい基本

E/Aについては、まず次のポイントを整理しておきましょう。

  • E波は拡張早期の僧帽弁流入血流
  • A波は心房収縮による僧帽弁流入血流
  • E/AはE波速度をA波速度で割った比率
  • パルスドプラで僧帽弁流入血流を記録する
  • E/Aは年齢などの影響を受ける
  • 心房細動では通常のE/A評価はできない
  • E/Aだけで左室拡張能を判断しない

「E波とA波が何を表しているのか」を理解してから、E/Aの数値を見ることが大切です。

知識を覚えたら、実際のE波・A波を確認してみる

E波・A波の意味やE/Aの計算方法は、文章や図でも学ぶことができます。

一方、実際の心エコーでは、僧帽弁流入血流を描出し、PWドプラで波形を記録する必要があります。

実際に装置を操作すると、

  • どこにサンプルボリュームを置くのか
  • E波とA波をどう安定して記録するのか
  • 波形が測定に適しているか
  • どこを計測すればよいのか

といったところで迷うことがあります。

E/Aの意味を知っていることと、実際に再現性のある波形を記録できることは別のステップです。

知識として覚えたE波・A波を実際の波形と結びつけると、E/Aの理解もしやすくなります。

よくある質問

心エコーのE/Aとは何ですか?

E/Aは、僧帽弁流入血流のE波速度をA波速度で割った比率です。

E波は拡張早期、A波は心房収縮による左室への血流を表します。

E/Aが低いと異常ですか?

E/Aが低いという数値だけで異常とは判断できません。

左室弛緩の変化によって低くなることがありますが、年齢などの影響も受けます。

E/Aが高いと異常ですか?

E/Aが高いという数値だけでも判断できません。

E波は左房圧などの影響も受けるため、ほかの心エコー所見と合わせて評価します。

E/Aだけで左室拡張能は分かりますか?

E/Aだけで左室拡張能を判断することはできません。

実際の評価では、e’やE/e’など、ほかの心エコー所見と合わせて考えます。

心房細動でもE/Aは測れますか?

通常のE/Aとして評価することはできません。

A波は心房収縮によって生じるため、心房細動では洞調律と同じようにE波とA波の比を評価できません。

まとめ|E/AはE波とA波の意味から理解する

E/Aは、僧帽弁流入血流のE波とA波から求める指標です。

E波は拡張早期に左房から左室へ流れ込む血流、A波は心房収縮による血流を反映します。

ただし、E/Aは年齢や心拍リズム、左房圧などの影響を受けるため、単独で左室拡張能を判断するものではありません。

まずE波とA波が何を表しているのかを理解し、そのうえでほかの心エコー所見とつなげて考えることが大切です。

E/Aの知識を、実際の波形とつなげたい方へ

E波・A波の意味は覚えられても、実際に装置を操作すると「波形が安定しない」「サンプル位置に迷う」ということがあります。

SASHIでは、現在の経験やつまずきに合わせて、心エコーの基本的な描出やPWドプラの操作を練習できます。

知識として覚えたE/Aを、実際の波形でも確認できるようにしたい方は、実技の中で一つずつつなげてみてください。

※本記事は心エコーにおけるE/Aの基本的な考え方をまとめたものです。左室拡張能の評価はE/A単独では行わず、患者背景やほかの心エコー所見を含めて総合的に評価されます。



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