Contents
下大静脈径評価とは
下大静脈径評価とは、
下大静脈(IVC:Inferior Vena Cava)の太さ(径)や
呼吸による変化を観察し、
右房圧や循環状態を推定する方法を指します。
心エコー検査において、
右房圧(RAP)の推定に重要な評価項目です。
下大静脈とは
下大静脈とは、
下半身から心臓へ血液を戻す大きな静脈です。
肝臓の後方を通り、
最終的に右心房へ流入します。
そのため、
右房の圧の影響を受けやすい血管です。
なぜ下大静脈径を評価するのか
右房圧が上昇すると、
下大静脈は拡張します。
また、
正常では呼吸により
下大静脈径は変化します。
このため、
- 径の大きさ
- 呼吸による虚脱の程度
を観察することで、
右房圧を推定できます。
評価方法
① 観察部位
通常は、
肝静脈流入部近くの下大静脈を観察します。
右房から約1~2cm遠位で
測定することが一般的です。
② 測定タイミング
呼吸の影響を確認するため、
- 安静呼吸時
- 深吸気時
の変化を観察します。
③ 呼吸による変化
正常では、
吸気時に下大静脈が細くなる
という特徴があります。
これは、胸腔内圧の低下
によるものです。
代表的な評価基準
下大静脈径評価では、
次の2つが重要です。
- 最大径
- 虚脱率(collapsibility)
代表的な目安は次の通りです。
正常例では、
- 径 ≤ 約21mm
- 吸気時虚脱率 ≥ 約50%
が一つの基準になります。
この場合、
右房圧は正常範囲と推定されます。
異常所見の例
拡張している場合
下大静脈径が大きく、
吸気時の虚脱が少ない場合、
右房圧上昇が疑われます。
例えば、
- 心不全
- 心タンポナーデ
- 肺高血圧
などで見られます。
強く虚脱する場合
径が小さく、
吸気時に大きく虚脱する場合、
循環血液量低下が疑われます。
例えば、
- 脱水
- 出血
などで見られます。
心嚢液貯留との関係
心嚢液が増加し、
心タンポナーデが発生すると、
下大静脈は拡張し、
呼吸による虚脱が減少することがあります。
そのため、
- 心嚢液貯留評価
- 下大静脈径評価
は密接に関係しています。
評価のポイント
下大静脈径評価では径だけでなく、
呼吸による変化を
合わせて観察することが重要です。
特に、
- 拡張しているか
- 虚脱しているか
の両方を確認することで、
右房圧や循環血液量の状態を
より適切に推定できます。
また、
心不全や心タンポナーデでは、
下大静脈が拡張しやすく、
吸気時虚脱が乏しくなることがあります。
一方で、脱水や出血では、
下大静脈径が小さく、
虚脱が強くなることがあります。
まとめ
下大静脈径評価は、
下大静脈の太さと呼吸変化を観察し、
右房圧や循環状態を推定する方法です。
- 右房圧推定に重要
- 径と虚脱率の評価が必要
- 体液量や循環状態を反映する
- 心タンポナーデ評価にも有用
下大静脈径評価を理解することで、
心機能や循環状態の把握が
より正確になります。












