在宅医療で臨床検査技師は必要か?現場での本当の役割とは

公開: 更新: 約8分

在宅医療で臨床検査技師との連携を考えている方へ

「在宅医療で臨床検査技師はどのような役割を担えるのだろう」

「医師や看護師との役割分担をどう考えればよいのか」

在宅医療の体制を考える中で、このような疑問を感じる医療機関もあるのではないでしょうか。

在宅医療では、病院内と比べて使用できる設備や人員が限られることがあります。

そのため、診療内容や施設の体制によっては、臨床検査技師の専門性を活かして、採血、検体管理、POCT、超音波検査などの検査業務を分担することも選択肢の一つです。

この記事では、在宅医療で臨床検査技師が関わる場合に考えられる役割と、連携するときに確認しておきたいポイントを紹介します。

在宅医療で臨床検査技師が関わる意味

在宅医療では、患者さんの自宅や施設など、病院とは異なる環境で診療や検査を行います。

そのため、限られた設備の中で、必要な検査をどのように実施するかを考える必要があります。

臨床検査技師は、検査に関する知識や技術を持つ専門職です。

施設の診療内容や医師の指示、法令上の業務範囲などを踏まえながら、検査に関する業務を担うことがあります。

ただし、臨床検査技師が加われば必ず診療の質が向上する、医師の負担が減るというものではありません。

現在どの業務に負担が集中しているのか、どの検査を訪問先で行いたいのかを整理したうえで、役割分担を考えることが大切です。

在宅医療で臨床検査技師が関わることのある業務

採血や検体に関する業務

在宅医療では、診療内容によって採血や検体採取が必要になることがあります。

臨床検査技師がこれらの業務に関わる場合、検体の取り扱いや保存、搬送などについても、施設の手順に従って対応します。

検査結果の信頼性には、採取方法だけでなく、保存条件や搬送時間などさまざまな要因が関係します。

そのため、検体管理を含めた運用を施設内で整理しておくことが大切です。

POCTなどの検査

訪問先でPOCTなどを実施している施設では、臨床検査技師が検査に関わる場合があります。

その場で得られた検査結果は、患者さんの状態を確認するための情報の一つとして活用できます。

ただし、検査結果だけで診断や治療方針が決まるわけではありません。

患者さんの症状、身体所見、既往歴、他の検査結果などを踏まえ、医師が総合的に判断します。

超音波検査

在宅医療で超音波検査を行う施設では、臨床検査技師が検査を担当する場合もあります。

超音波検査によって得られた画像は、患者さんの状態を把握するための情報の一つになります。

一方で、患者さんの体格や体位、使用する装置などによっては十分な画像を得にくいこともあります。

画像が得られなかった場合や所見の解釈に迷う場合は、超音波だけで判断せず、他の診察情報や検査も含めて検討することが必要です。

検査結果の「解釈支援」は役割を整理して考える

臨床検査技師は、検査方法や検査値、画像などに関する専門知識を持っています。

そのため、検査結果について医師や他職種と情報共有する場面があります。

ただし、検査結果をもとに診断を確定したり、治療方針を決定したりするのは医師です。

臨床検査技師との連携では、「診療判断を代わりに行う」のではなく、検査に関する情報をチーム内で共有し、必要な情報を診療へつなげるという役割で考えることが大切です。

患者さんやご家族への説明について

検査を行う際には、患者さんやご家族が不安を感じることがあります。

臨床検査技師が検査の流れや実施内容について説明することで、検査を受ける際の理解を助けられる場合があります。

ただし、検査結果の医学的な意味や診断、治療方針については、医師から説明する内容と区別することが必要です。

誰がどこまで説明するのかを、あらかじめ施設内で決めておくと連携しやすくなります。

「病院の補完」としてではなく、在宅医療に必要な体制として考える

在宅医療は、単に病院で行っている診療をそのまま自宅へ持ち込むものではありません。

患者さんの生活環境や病状、家族の状況などを踏まえながら、在宅という環境に合った診療体制を構築する必要があります。

その中で臨床検査技師を配置する場合も、

  • どの検査を訪問先で行うのか
  • どの程度の頻度で検査が必要なのか
  • 誰がどの業務を担当するのか
  • 使用する機器や検体をどう管理するのか
  • 検査結果をどのように共有するのか

などを整理しておくことが大切です。

チーム医療の中で臨床検査技師の役割を考える

在宅医療では、医師、看護師、薬剤師、リハビリ職、介護職など、さまざまな職種が連携します。

臨床検査技師が加わる場合も、単独で役割を考えるのではなく、チーム全体の中でどの業務を担うのかを整理することが大切です。

たとえば、

  • 医師が診察と診療判断を行う
  • 臨床検査技師が必要な検査を担当する
  • 看護師など他職種と患者情報を共有する
  • 検査結果をチーム内で確認する

といったように、それぞれの専門性を活かせる体制を考えていきます。

臨床検査技師を導入すること自体が目的ではなく、患者さんに必要な医療を提供するために、どの職種がどの役割を担うのがよいかを検討することが重要です。

コスト面も含めて導入を検討する

臨床検査技師を新たに配置する場合は、人件費や機器費用、移動時間なども含めて検討する必要があります。

「技師を配置すれば再検査が減る」「患者数が増える」といった成果を一律に期待するのではなく、現在の業務量や訪問件数に対して、どのような役割を担ってもらうのかを具体的に整理しましょう。

たとえば、

  • 現在誰が検査を担当しているか
  • 検査にどの程度の時間がかかっているか
  • どの程度の検査件数があるか
  • 技師配置によって役割分担を変更できるか
  • 追加するコストに見合う運用が可能か

などを確認することで、自施設に必要な体制かどうかを判断しやすくなります。

臨床検査技師との連携を始めるための3つのステップ

1.現在の課題を整理する

最初に、「臨床検査技師を入れたい」ではなく、現在何に困っているのかを明確にします。

採血、検体管理、POCT、超音波検査など、負担が大きい業務や今後導入したい検査を整理しましょう。

2.役割分担と運用方法を決める

臨床検査技師に担当してもらう業務を整理し、医師・看護師など他職種との役割分担を決めます。

検査の実施については、法令上の業務範囲、医師の指示、施設内の運用ルールなどを確認する必要があります。

3.導入後に振り返る

導入後は、実際の運用を定期的に確認します。

  • 役割分担は適切だったか
  • 訪問時間に無理はなかったか
  • 機器や検体の管理に問題はなかったか
  • 他職種との情報共有はできていたか
  • 今後改善したい点は何か

などを振り返りながら、施設に合う体制へ調整していきます。

在宅医療でエコーを活用するなら、実技教育も考える

在宅医療で臨床検査技師が超音波検査を担当する場合は、装置を用意するだけでなく、実際に検査を行うための実技経験も必要です。

超音波検査では、解剖や病態の知識に加えて、

  • プローブ操作
  • 基本断面の描出
  • 装置設定
  • 患者さんに合わせた走査
  • 画像の振り返り

などを実際に練習する必要があります。

院内で実技を学ぶ機会を確保しにくい場合は、外部のハンズオンや実技研修を活用する方法もあります。

SASHI合同会社では、医療従事者向けのマンツーマン超音波検査実技レッスンと、医療機関向けの法人研修を行っています。

受講する方の現在の経験や施設で必要とされている検査内容を確認しながら、実技内容を組み立てています。

外部研修だけで在宅医療に必要な技術がすべて身につくわけではありませんが、基礎実技を確認し、その後の練習課題を整理する学習機会として活用できます。

まとめ|在宅医療での臨床検査技師の役割は、施設ごとに設計する

在宅医療における臨床検査技師の役割は、一律に決まっているものではありません。

施設の診療内容や患者さんの状況によって、必要な検査や人員体制は異なります。

臨床検査技師との連携を考える場合は、

  • どの検査を在宅で行いたいのか
  • 誰が現在その業務を担当しているのか
  • 臨床検査技師に何を担ってもらいたいのか
  • 医師・看護師などとの役割分担をどうするのか
  • 導入後にどう評価・改善していくのか

を整理することが大切です。

「臨床検査技師を入れれば診療が良くなる」と考えるのではなく、検査業務とチーム全体の役割を整理したうえで、専門性をどこで活かすかを考える。

その視点から、自施設に合った在宅医療の体制を検討してみましょう。

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施設で必要とされる検査内容や、受講するスタッフの現在の経験を確認しながら、必要な実技を整理します。

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