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近距離音場とは
近距離音場とは、
超音波振動子の直後から一定距離までの音場領域を指します。
英語では
Near Field(ニアフィールド)
または
Fresnel zone(フレネル領域)
と呼ばれます。
この領域では、
音波がまだ完全に拡散せず、
干渉の影響を強く受けています。
音場の構造
超音波ビームは、
・近距離音場(Near Field)
・遠距離音場(Far Field)
の2つに分かれます。
近距離音場では、
・ビーム幅が周期的に変化する
・干渉により音圧分布が不均一になる
という特徴があります。
振動子全面から発生した波が
互いに干渉することで、
強弱が生じます。
近距離音場の長さ
近距離音場の長さ(N)は、
理想的な円形振動子の場合、
N = D² ÷ 4λ
で表されます。
D:振動子の直径
λ:波長
つまり、
・振動子が大きい
・波長が短い(高周波)
ほど、近距離音場は長くなります。
なぜ干渉が起こるのか
振動子表面から出る超音波は、
一点から出ているわけではありません。
面全体から発生した波が
空間内で重なり合うことで、
強め合い
弱め合い
が起こります。
その結果、
音圧分布が不均一になります。
これがフレネル領域の特徴です。
遠距離音場との違い
近距離音場を過ぎると、
ビームは徐々に拡散しながら進みます。
遠距離音場では、
・ビームは連続的に拡散する
・音圧は距離とともに減衰する
という特徴があります。
診断用超音波では、
電子フォーカスにより
焦点は通常、近距離音場内に設定されます。
臨床的な意味
① 横方向分解能に影響する
近距離音場の終端付近では、
自然焦点(natural focus)が形成され、
ビームが最も細くなります。
この位置に焦点を合わせることで、
横方向分解能が向上します。
② 表在臓器の描出と関係する
観察部位が極端に浅いと、
干渉の影響を強く受ける場合があります。
そのため、
・スタンドオフパッド
・ゼリーを厚く塗布
などの工夫が行われます。
③ プローブ選択の根拠になる
高周波プローブは波長が短いため、
近距離音場が長くなります。
その結果、
浅い部位で良好な横方向分解能が得られます。
用語整理
・Near Field = Fresnel zone
・長さは D² ÷ 4λ
・干渉が支配的な領域
遠距離音場とは性質が異なります。
まとめ
近距離音場は、
振動子直後の干渉が支配的なビーム領域です。
・Near Field(Fresnel領域)とも呼ばれる
・振動子径と波長で長さが決まる
・干渉により音圧が不均一になる
・焦点設定や横方向分解能に影響する
超音波検査では、
ビームがどの領域にあるかを理解することが
画質調整の基礎になります。











