腹部エコーの算定は、D215超音波検査の区分、検査部位、検査方法、同一月・同日内の実施状況、記録内容をあわせて確認することが大切です。
腹部エコーは、一般的には超音波検査の「断層撮影法(心臓超音波検査を除く。)」のうち、胸腹部として整理されます。ただし、算定可否は保険点数だけでなく、診療目的、検査記録、所見の記載、同日・同月に行った他の超音波検査との関係によって変わることがあります。
この記事では、腹部エコー 算定で迷いやすい保険点数、記録、同日検査、同月内2回目以降の考え方を、医療従事者向けにわかりやすく整理します。実際の請求では、最新の診療報酬点数表、通知、審査支払機関の取扱い、院内ルールを必ず確認してください。
腹部エコーを実施したあと、「この検査は何点で算定するのか」「同じ日に頸動脈エコーや心エコーも行った場合はどう考えるのか」「画像や所見の記録はどこまで必要なのか」と迷うことはありませんか。
その迷いは、あなたの理解不足だけが原因ではありません。超音波検査の算定は、部位、方法、同一日、同一月、記録要件、医師確認、レセプト摘要欄など、複数の条件が重なって判断されるためです。
腹部エコーの算定を考えるときは、「腹部を見たから算定できる」という単純な理解では足りません。どの区分に該当するのか、検査で得られた所見をどう記録したのか、同日・同月に他の超音波検査を実施していないかを整理する必要があります。
この記事を読むことで、腹部エコーの保険点数の基本、記録で押さえるべき内容、同日検査で注意したい考え方、現場で算定ミスを防ぐ確認ポイントが見えやすくなります。
まずは、腹部エコーが診療報酬上どの区分に入るのかから確認していきましょう。
Contents
腹部エコーの算定は、D215超音波検査の区分から考える
腹部エコーの算定では、まず診療報酬上の「D215 超音波検査」に該当するかを確認します。
腹部エコーは、通常、心臓超音波検査ではなく、断層撮影法の胸腹部として扱われることが多い検査です。
腹部エコーは「断層撮影法・胸腹部」として整理される
腹部エコーは、D215超音波検査のうち、断層撮影法(心臓超音波検査を除く。)の「胸腹部」として算定を考えるのが基本です。
診療報酬点数表では、超音波検査はAモード法、断層撮影法、心臓超音波検査などに区分されています。腹部エコーは、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓、腹部大動脈などを観察する検査として、胸腹部の断層撮影法に該当するケースが多くなります。
公開時点で確認できる点数表では、D215超音波検査の断層撮影法(心臓超音波検査を除く。)のうち、「その他の場合」の胸腹部は530点として示されています。実際の算定では、必ず最新の点数表や通知を確認してください。
超音波検査全体の保険点数の考え方を整理したい方は、超音波検査の算定基本を解説した記事も参考になります。
訪問診療時に行う場合は、通常の外来・院内実施と分けて考える
超音波検査は、実施場所や診療形態によって算定区分が変わることがあります。
特に訪問診療時に超音波検査を行う場合は、院内で行う腹部エコーと同じ感覚で算定すると誤りにつながる可能性があります。D215の断層撮影法には、訪問診療時に行った場合の区分が設けられているためです。
訪問診療、往診、外来、入院など、どの診療場面で行った検査なのかを確認し、院内ルールや医事課の確認フローと照らし合わせることが大切です。
腹部エコーの対象臓器を明確にしておく
腹部エコーの算定では、どの臓器や領域を観察したのかを明確にしておくことが重要です。
腹部エコーといっても、肝胆膵脾腎を広く見る検査もあれば、胆のうや腎臓など特定の臓器を重点的に見る場合もあります。検査目的、依頼内容、実際に観察した範囲が記録とずれていると、後から確認しにくくなります。
腹部エコーの観察範囲や臓器の位置関係に不安がある方は、腹部エコーの解剖の覚え方を解説した記事もあわせて確認すると、記録の整理にもつながります。
腹部エコーの算定で最初に確認したいこと
- D215超音波検査のどの区分に該当するか
- 断層撮影法の胸腹部として扱う検査か
- 訪問診療時の実施か、院内・外来・入院での実施か
- 検査目的と依頼内容が記録に残っているか
- 実際に観察した臓器や領域が明確か
- 同日・同月に他の超音波検査を実施していないか
- 最新の診療報酬点数表や院内ルールと照合しているか
点数だけでなく、算定要件と記録要件をセットで見る
腹部エコーの算定では、保険点数だけを覚えていても十分ではありません。
超音波検査では、画像の保存、主な所見の記載、測定値や性状の記録、医師以外が検査した場合の医師確認など、記録に関する要件も重要になります。
そのため、腹部エコーの算定を考えるときは「何点か」だけでなく、「算定できる記録が整っているか」まで確認する必要があります。
腹部エコーでは、画像・所見・測定値の記録が算定の土台になる
腹部エコーの算定では、検査を実施した事実だけでなく、検査で得られた情報を適切に記録していることが大切です。
画像、観察部位、主な所見、必要な測定値、医師確認の流れが整っていると、後から見ても検査内容が伝わりやすくなります。
画像保存だけでなく、主な所見の記載が必要になる
腹部エコーでは、画像を残すだけでなく、検査で得られた主な所見を診療録または報告書に記載することが重要です。
超音波検査は、リアルタイムに画像を見ながら判断する検査です。そのため、検査中に何を確認したのか、どのような所見があったのかを記録しなければ、後から検査内容を追いにくくなります。
正常範囲内であっても、どの臓器を確認したのか、異常所見を認めなかったのか、必要な測定を行ったのかを簡潔に残すことが大切です。
腹部エコーでは、臓器ごとの観察内容を整理して記録する
腹部エコーの記録では、肝臓、胆のう、胆管、膵臓、腎臓、脾臓、腹部大動脈など、観察した範囲をわかりやすく整理します。
たとえば、肝臓では腫瘤性病変や脂肪肝を疑う所見、胆のうでは胆石や壁肥厚、膵臓では描出範囲や膵管、腎臓では腎盂拡張や嚢胞、腹部大動脈では径などが記録の対象になります。
腹部エコーの観察ポイントを整理したい方は、腹部エコー初心者向けのコツをまとめた記事や、腹部エコーの勉強法を解説した記事も参考になります。
医師以外が検査を実施した場合は、確認フローを明確にする
腹部エコーは、臨床検査技師など医師以外の医療従事者が実施することも多い検査です。
その場合、検査実施者が測定値や性状などを文書に記載し、医師が確認した旨を診療録に残す流れが重要になります。院内で誰がどの段階で確認するのか、報告書をどこに保存するのかを明確にしておくと、算定や監査時の不安を減らしやすくなります。
記録が属人的になると、検査者によって記載の粒度がばらつきます。施設内でテンプレートや確認項目を整えることも、算定ミスを防ぐうえで大切です。
腹部エコー記録で確認したい項目
- 検査目的や依頼内容
- 観察した臓器・領域
- 保存画像の有無
- 主な所見の記載
- 必要な測定値や性状の記録
- 描出不良があった場合の理由や範囲
- 医師確認の有無
- レセプト摘要欄への記載が必要な内容
描出不良も、必要に応じて記録しておく
腹部エコーでは、体格、腸管ガス、胃内ガス、術後変化、呼吸の影響などで、臓器が十分に描出できないことがあります。
その場合、ただ「見えなかった」で終わらせるのではなく、どの臓器のどの範囲が観察困難だったのか、可能な範囲で何を確認したのかを記録しておくと、検査内容が伝わりやすくなります。
腹部エコーは描出条件に左右される検査です。記録には、検査者の努力や工夫だけでなく、限界があった場合の情報も含めることで、後続の診療判断に役立ちます。
同日・同月に複数の超音波検査を行う場合は、部位と方法を整理する
腹部エコーの算定で特に迷いやすいのが、同じ日に他の超音波検査も行った場合です。
同日・同月に複数の超音波検査を実施するときは、同一部位か別部位か、同一方法か別方法か、同一月内の2回目以降に該当するかを確認する必要があります。
同一部位に複数の方法を併用した場合は、主たる検査方法で考える
同じ部位に対して複数の超音波検査方法を併用する場合は、主たる検査方法により1回として算定する考え方が基本です。
たとえば、同じ部位に対して断層撮影法と別の方法を組み合わせた場合、すべてを別々に算定できるとは限りません。主たる検査方法をどう考えるか、診療目的と実施内容を照らし合わせる必要があります。
ここで大切なのは、実施した操作をそのまま足し算で請求するのではなく、診療報酬上どの検査として評価されるのかを確認することです。
別部位でも同じ方法の場合は、1回のみの算定となることがある
超音波検査では、別の部位を見た場合でも、同一の方法による検査では部位数にかかわらず1回のみの算定となる考え方があります。
たとえば、腹部エコーと頸部エコーを同日に行った場合、単純に腹部と頸部を別々に満額算定できるとは限りません。部位、方法、主たる検査、施設の解釈、審査上の取扱いを確認する必要があります。
頸動脈エコーの算定を別記事で確認したい方は、頸動脈エコーの算定を解説した記事も参考になります。
腹部エコーと心エコーは、区分が異なるため確認の考え方が変わる
腹部エコーと心エコーは、同じ超音波検査でも診療報酬上の区分が異なります。
腹部エコーは断層撮影法(心臓超音波検査を除く。)の胸腹部として考える一方、心エコーは心臓超音波検査として別に区分されています。そのため、同日に腹部エコーと心エコーを行った場合は、同じ超音波検査でも別の検査区分として整理する必要があります。
ただし、実際の算定可否や取扱いは、検査目的、実施内容、レセプト記載、審査支払機関の判断、院内ルールによって確認が必要です。
同一月内2回目以降は、逓減算定の対象になることがある
同一患者に同一月内で同一検査を2回以上行う場合、2回目以降は所定点数の100分の90に相当する点数で算定する取扱いがあります。
このとき重要なのは、何を「同一検査」と考えるかです。同じ腹部エコーを同月内に複数回実施した場合だけでなく、同じ方法の超音波検査を別部位に行った場合の扱いも確認が必要になります。
同日・同月検査で確認したい判断軸
- 同じ患者に対する検査か
- 同じ日か、同じ月内の別日か
- 同一部位か、別部位か
- 同一方法か、異なる方法か
- 主たる検査方法はどれか
- 2回目以降の逓減算定に該当するか
- 医学的必要性と記録が明確か
- レセプト摘要欄への記載が必要か
現場では、検査前に医事課と確認できる仕組みがあると安心
腹部エコーの算定は、検査室だけで完結するものではありません。
医師の依頼、検査実施者の記録、医事課の算定、レセプト提出、審査対応がつながって初めて、適切な運用になります。特に同日・同月に複数の超音波検査を行う場合は、事前に医事課へ確認できる仕組みがあると安心です。
施設内で教育や運用を整える場合は、検査者だけでなく、医師、医事課、管理者が同じルールを共有することが大切です。
腹部エコーの算定についてよくある疑問
腹部エコーの算定は、保険点数だけでなく、記録や同日検査の扱いも含めて考える必要があります。
ここでは、現場で迷いやすい疑問を整理します。
腹部エコーは何点で算定しますか?
腹部エコーは、D215超音波検査の断層撮影法(心臓超音波検査を除く。)のうち、胸腹部として算定を考えるのが基本です。
公開時点で確認できる点数表では、その他の場合の胸腹部は530点として示されています。ただし、診療報酬は改定されるため、実際の請求では最新の点数表、通知、院内ルール、審査支払機関の取扱いを確認してください。
腹部エコーと頸動脈エコーを同じ日に行った場合、両方算定できますか?
同じ日に複数の超音波検査を行った場合は、部位と検査方法の組み合わせによって算定の考え方が変わります。
別部位であっても同一方法による検査では、部位数にかかわらず1回のみの算定となる考え方があります。腹部エコーと頸動脈エコーのように部位が異なる場合でも、同日実施時は医事課や最新の算定ルールで確認することが大切です。
腹部エコーを算定するために記録はどこまで必要ですか?
腹部エコーでは、保存画像に加えて、検査で得られた主な所見や測定値、観察した臓器・領域を記録しておくことが重要です。
医師以外が検査を実施した場合は、検査実施者による測定値や性状等の文書記載、医師が確認した旨の診療録記載など、院内の確認フローも整えておく必要があります。記録が不十分だと、実施内容が後から確認しにくくなります。
この記事の要点整理
- 腹部エコーの算定は、D215超音波検査の区分から考える
- 腹部エコーは、断層撮影法の胸腹部として整理されることが多い
- 公開時点で確認できる点数表では、胸腹部は530点として示されている
- 算定では、保険点数だけでなく画像・所見・測定値の記録が重要
- 医師以外が検査した場合は、医師確認の記録フローも確認する
- 同日・同月に複数の超音波検査を行う場合は、部位と方法を整理する
- 同一月内2回目以降は、逓減算定の対象になることがある
- 実際の請求では、最新の点数表、通知、院内ルール、審査支払機関の取扱いを確認する
腹部エコーの算定は、点数だけを覚えれば終わりではありません。
検査目的、実施部位、保存画像、主な所見、医師確認、同日・同月検査の扱いまで整理することで、現場での迷いを減らしやすくなります。
腹部エコーの記録を安定させるには、実技そのものの理解も必要です。描出範囲や観察ポイントがあいまいだと、記録も曖昧になりやすいため、腹部エコーの練習方法を解説した記事や、腹部エコーの基礎を解説した記事もあわせて確認すると理解が深まります。
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