臨床検査技師の人手不足を考えるときは、採用人数だけでなく、どの業務を誰が担当しているのか、教育の時間を確保できているのかまで整理することが大切です。
現場では、採血、検体検査、心電図、超音波検査、健診対応、当直、報告業務など、施設ごとにさまざまな業務があります。
その中で、特定の検査を担当できる人が限られていたり、新人や未経験者へ教える時間を十分に確保できなかったりすると、日々の運用に負担を感じることがあります。
この記事では、「臨床検査技師 人手不足」と調べている医療機関の管理者・教育担当者に向けて、まず確認したい現場の状況と、実技教育や研修を検討するときの考え方を整理します。
「臨床検査技師が足りない」
「エコーを担当できるスタッフが限られている」
「教えたいけれど、通常業務が忙しくて十分な時間を取れない」
そんな悩みを抱えている施設もあるのではないでしょうか。
一口に「人手不足」といっても、原因は施設によって異なります。
単純に人数が足りない場合もあれば、特定の業務を担当できる人が少ない場合、教育時間を確保しにくい場合、勤務体制そのものに課題がある場合もあります。
そのため、まずは「何が足りていないのか」を具体的に確認することが大切です。
臨床検査技師の人手不足は、まず現場の状況を分けて考える
人手不足を感じているとき、すぐに「採用しなければ」と考えることがあります。
ただし、実際には「人数そのものが不足している」のか、「特定の業務を担当できる人が少ない」のかによって、必要な対応は異なります。
施設によって、臨床検査技師の担当業務は異なります
臨床検査技師の業務には、検体検査だけでなく、採血、心電図、肺機能検査、超音波検査、健診業務、当直など、さまざまなものがあります。
どの業務を担当するかは施設によって異なります。
限られた人数で複数の業務を担当している施設では、特定のスタッフが休職・退職したときに、一部の検査体制へ影響が出ることもあります。
「人手不足」と感じたときに確認したいこと
- 単純に勤務人数が不足しているのか
- 特定の検査だけ担当者が限られているのか
- 特定スタッフへ業務が集中していないか
- 新人や若手へ教える時間を確保できているか
- 業務量と人員配置が合っているか
- 休職・退職時に代替できない業務があるか
エコーは、担当者が限られることがある実技分野です
超音波検査は、腹部、心臓、頸動脈、甲状腺、乳腺など、領域によって必要な知識や実技が異なります。
また、教科書を読むだけで完結するものではなく、実際にプローブを操作しながら、正常像や基本断面、装置設定、観察手順などを確認していく必要があります。
そのため、施設によってはエコーを担当できるスタッフが限られていることがあります。
その場合は、「人が足りない」とまとめるのではなく、どの領域を担当できる人が不足しているのかを整理してみましょう。
エコーを基礎から学ぶ流れを知りたい場合は、超音波検査の勉強を初心者向けに整理した記事も参考になります。
教育担当者の時間を確保できるかも確認する
現場でスタッフを育成したいと思っていても、教育担当者自身が通常業務を抱えている場合があります。
見学、実践、振り返り、フィードバックまで行いたくても、十分な時間を確保できないこともあるでしょう。
この場合は、教育担当者個人の努力だけに任せるのではなく、勤務時間の中でどこまで教育時間を確保できるのかを確認することが大切です。
採用と教育は、分けて考えましょう。
人数を増やす必要があるのか、今いるスタッフへ新しい業務を教える必要があるのかでは、必要な対応が異なります。
教育を考える前に、「誰が何を担当できるか」を整理する
院内教育を検討するときは、まず現在の業務状況を確認しましょう。
誰がどの検査を担当しているのか、どの業務に人が集中しているのか、どの領域で教育が必要なのかを整理すると、必要な研修内容も考えやすくなります。
業務を見える化する
たとえば、
- 採血は複数名が担当できる
- 腹部エコーは一部のスタッフのみ担当している
- 頸動脈エコーは特定のスタッフしか担当していない
- 新人教育を担当できる人が限られている
といったように、業務ごとに状況を整理します。
現場で確認したい項目
- 各スタッフが担当している検査
- 指導できるスタッフがいる検査
- 特定の人に集中している業務
- 新人や未経験者が練習したい業務
- 院内教育だけでは時間を確保しにくい業務
- 今後院内で担当者を増やしたい領域
こうして整理すると、「人が足りない」という漠然とした状態から、「どの業務について対策を考える必要があるのか」が見えやすくなります。
実技教育は、見学だけでなく実際に手を動かす時間も必要です
エコーなどの実技を学ぶ場合は、見学だけではなく、実際にプローブを操作する時間も必要です。
たとえば、
- 正常像を確認する
- 基本走査を確認する
- プローブ操作を練習する
- 画像が出にくいときの修正方法を確認する
- 練習後に振り返る
といった形で、一つずつ確認していきます。
ただし、研修を受けたからといって、短期間で一人で検査を担当できるようになるとは限りません。
本人の経験や練習環境、担当領域などによって必要な期間は異なります。
マニュアルと実技練習は役割が異なります
院内マニュアルは、検査手順や施設内ルールを共有するために役立ちます。
一方で、実技は実際に手を動かして確認する必要があります。
エコーであれば、患者さんの体格や臓器の位置などによっても画像の見え方が変わります。
そのため、マニュアルだけでなく、実技練習や振り返りを組み合わせる方法があります。
研修を導入するなら、まず「何を学んでほしいか」を決める
院内研修や外部研修を検討する場合は、「人手不足だから研修をする」と考えるのではなく、研修で何を確認したいのかを明確にしましょう。
人手不足そのものを研修だけで解決できるとは限りません。
ただし、特定の実技について学ぶ機会が不足している場合には、外部研修を教育方法の一つとして検討できます。
研修前に施設の課題を整理する
たとえば、
- 腹部エコーの基本操作を学ぶ機会をつくりたい
- 心エコーの基本断面を確認したい
- 新人がプローブを持つ練習時間を確保したい
- ブランクのあるスタッフが基本から確認したい
- 院内だけでは十分な実技練習時間を取れない
など、具体的に整理しておくと、研修内容を決めやすくなります。
研修前に整理したいこと
- どの領域を学ぶのか
- 受講者はどの程度経験しているのか
- どの操作に不安があるのか
- 研修後にどのような練習環境があるのか
- 院内で誰が振り返りを行うのか
超音波検査の研修では、基本から確認する方法があります
初心者や経験の浅いスタッフの場合は、正常像や基本走査、プローブ操作などから確認する方法があります。
腹部エコー、心エコー、頸動脈エコーなど、それぞれの領域で必要な基本を整理しながら練習していきます。
どこから始めるかは、受講者の経験や施設で担当する予定の業務によって異なります。
SASHIでは、施設の課題に合わせた法人向け研修に対応しています
SASHI合同会社では、医療機関向けに超音波検査の実技研修を行っています。
腹部、心臓、甲状腺、頸動脈、乳腺などから、施設で必要としている領域や受講者の現在の経験を確認しながら、研修内容を調整します。
現在は、臨床経験のある講師とともに、医療従事者向けの実技教育を企画・運営しています。
「職場だけでは十分な練習時間を確保しにくい」「スタッフに実技を学ぶ機会をつくりたい」といった場合にもご相談いただけます。
ただし、研修の受講によって、人手不足の解消、離職防止、検査枠の拡大、外注費削減、短期間での独り立ちなどを保証するものではありません。
施設内で必要な実技教育を行う際の、学習機会の一つとして活用できます。
個人で実技を基礎から確認したい方は、個人向けマンツーマンレッスンをご確認ください。
研修後の練習方法も、事前に考えておく
実技研修は、受講した時点で学習が完了するものではありません。
研修後も、職場などで繰り返し練習し、画像を振り返ることが大切です。
そのため、研修を導入する場合は、
- どのように復習するか
- 練習時間を確保できるか
- 誰が画像を確認するか
- 分からないことを誰に相談するか
- どの段階で担当業務を増やすか
などもあわせて検討しましょう。
研修そのものだけでなく、その後も練習できる環境を考えることが大切です。
臨床検査技師の人手不足・教育についてよくある疑問
臨床検査技師の人手不足はなぜ起こりますか?
原因は施設によって異なります。
単純な人数不足だけでなく、特定の業務を担当できる人が限られている、教育時間を確保しにくい、勤務体制に課題があるなど、さまざまな要因が考えられます。
人手不足を感じたら、まず何を確認すればいいですか?
まず、どの業務について「人が足りない」と感じているのかを確認してみましょう。
人数そのものが不足しているのか、エコーなど特定業務の担当者が限られているのかによって、必要な対応は異なります。
エコー担当者を育てるには何が必要ですか?
まずは担当する領域を決め、現在の経験に合わせて基本操作や正常像、基本走査などを確認していきます。
必要な期間や練習量は人によって異なるため、短期間での独り立ちを前提にせず、段階的に練習できる環境を考えることが大切です。
この記事の要点
- 人手不足の原因は施設によって異なる
- まずは、人数不足なのか特定業務の担当者不足なのかを分けて考える
- 誰がどの検査を担当しているかを整理する
- エコーなどの実技教育には、実際に手を動かす時間が必要
- 研修を受けても、短期間で独り立ちできるとは限らない
- 外部研修は、院内教育を補う学習方法の一つとして活用できる
- 研修後も練習できる環境を考えることが大切
臨床検査技師の人手不足について考えるときは、すべてを採用や研修だけで解決しようとする必要はありません。
まずは今の現場を見て、「どの業務で困っているのか」「誰が担当しているのか」「教育で補える部分があるのか」を整理してみましょう。
その中で、スタッフへ実技を学ぶ機会をつくる必要があると判断した場合には、院内教育だけでなく外部研修を活用する方法もあります。
今いるスタッフに無理をさせるのではなく、必要な学びを一つずつ整えていく。
そんな形で、自施設に合う教育方法を考えていきましょう。
院内の超音波検査教育を整えたい医療機関へ
現在の教育体制、対象領域、受講者の経験を確認し、現場に合う法人研修や育成計画をご提案します。
法人研修について相談する受講前の相談だけでも可能です。現在の経験や目標に合わせてご案内します。