前負荷について

用語集

前負荷

前負荷とは

前負荷とは、
心室が収縮する直前に心筋にかかっている伸展の程度を指します。

簡単に言えば、
心室にどれだけ血液が戻ってきているかを示す概念です。

基本的な考え方

心臓は、
拡張期に血液を受け取り、
収縮して血液を送り出します。

このとき、

拡張期に心室へ流入した血液量

が増えるほど、
心筋はより伸ばされます。

この伸びの程度が前負荷です。

フランク・スターリングの法則

前負荷と心収縮には、
フランク・スターリングの法則があります。

心筋が適度に伸ばされると、
収縮力が強くなります。

つまり、

前負荷が増える

一回拍出量が増える

という関係があります。

前負荷を決める要因

前負荷は、
主に次の要因に影響されます。

  • 静脈還流量
  • 循環血液量
  • 心室コンプライアンス
  • 心拍数

特に静脈還流は、
前負荷を決める重要な要素です。

心エコーでの評価

超音波検査では、
前負荷を直接測定することはできません。

しかし、

  • 下大静脈径
  • 下大静脈呼吸変動
  • 左室拡張末期径

などを参考に
推定することができます。

臨床的な意味(超音波検査での重要性)

① 循環管理

前負荷が低下すると、

  • 低血圧
  • 心拍出量低下

が起こる可能性があります。

輸液の必要性を判断する際の
重要な概念です。

② 心不全評価

心不全では、
前負荷が過剰になることがあります。

その結果、

  • 肺うっ血
  • 浮腫

が生じる可能性があります。

③ 集中治療での評価

ショック患者では、
前負荷の評価が

  • 輸液反応性
  • 循環補助

の判断に役立ちます。

初学者がつまずきやすい点

よくある誤解として、

  • 前負荷=血圧
  • 前負荷=心拍数

という理解があります。

実際には、

  • 心室に流入する血液量
  • 心筋の伸展

を示す概念です。

まとめ

前負荷は、
心室収縮前の心筋の伸展状態を示します。

  • 心室へ戻る血液量に関係する
  • フランク・スターリングの法則に関与する
  • 輸液管理の判断材料となる


心エコーでは間接的に評価する前負荷を理解することは、
循環動態を評価するうえで
重要な基礎となります。

横方向分解能について横方向分解能前のページ

時間分解能次のページ時間分解能について

関連記事

  1. スペクトラムドプラについて

    用語集

    スペクトラムドプラ

    スペクトラムドプラとはスペクトラムドプラ(Spectral …

  2. 僧帽弁弁輪速度について

    用語集

    僧帽弁輪速度

    僧帽弁輪速度とは僧帽弁輪速度とは、僧帽弁輪の動きをドプラ法で…

  3. 左室リモデリングについて

    用語集

    左室リモデリング

    左室リモデリングとは左室リモデリングとは、左心室の形態や構造…

  4. 低エコーの意味とエコー画像の見方を初心者向けに解説

    用語集

    低エコーとは?エコー画像で黒っぽく見える意味・見方・注意点を初心者向けに解説

    低エコーとは、周囲の組織と比べてエコー画像上で黒っぽ…

  5. 後方エコー増強の見え方と嚢胞性病変の基本を初心者向けに解説

    用語集

    後方エコー増強とは?エコー初心者が嚢胞性病変の見え方を理解する基本

    後方エコー増強とは、液体を多く含む構造物の後ろ側が、…

  6. 散乱について

    用語集

    散乱

    散乱とは散乱(Scattering)とは、超音波が微細な構造…

  1. グレーディングローブについて

    用語集

    グレーティングローブ(Grating Lobe)
  2. 転職後の不安を抱える臨床検査技師が安心して行動するための方法

    転職・キャリアアップ

    【転職するべき?】臨床検査技師が感じる“不安”と向き合う方法
  3. エコー症例検討から学ぶ臨床検査技師のスキルアップ方法

    エコーセミナー

    エコー症例検討を通じてスキルアップする3つの秘訣
  4. 臨床検査技師を辞めたいと感じたときに読んでほしい記事

    転職・キャリアアップ

    「臨床検査技師 やめたい」と感じたあなたへ
  5. 最短でエコー技術を習得するための大切な考え方

    エコーセミナー

    努力が結果に変わる!エコー技術を最短で身につけるために大切なこと
PAGE TOP