Contents
音速とは
音速とは、音(機械的振動)が物質の中を伝わる速さのことを指します。
超音波検査では、プローブから発信された
超音波が体内を進む速度を意味し、
画像を正しく作成するうえで非常に重要な基本概念です。
医療用超音波装置では、
人体軟部組織内の平均音速を一定(1540 m/s)と
仮定して画像が構築されています。
つまり装置は、
「超音波は体内(軟部組織)を毎秒1540メートルで進む」
という前提で距離や位置を計算しています。
原理
超音波装置は次の仕組みで画像を作ります。
- プローブから超音波を送信
- 組織境界で反射
- 反射波(エコー)がプローブへ戻る
- 戻ってくるまでの時間を測定
- 距離を計算して画像化
距離は、
距離 = 音速 × 時間 ÷ 2
で求められます。
(超音波は往復するため2で割ります)
そのため、音速の仮定が実際と異なる場合、
画像上の位置や深さに誤差が生じます。
組織による音速の違い
実際には、人体内の音速は組織によって異なります。
| 組織 | 音速(m/s) |
| 空気 | 約330 |
| 脂肪 | 約1450 |
| 水 | 約1480 |
| 軟部組織(平均) | 約1540 |
| 筋肉 | 約1580 |
| 骨 | 約3000以上 |
しかし装置は1540 m/sで計算するため、
実際の音速との差が位置ずれや屈折などの
アーチファクトの原因になります。
臨床的な意味
① 距離・大きさ測定の基準になる
腫瘤サイズや臓器径の測定は、
音速1540 m/sを前提として算出されています。
そのため音速仮定から外れる組織を通過すると、
実際のサイズとの間に誤差が生じる可能性があります。
② 屈折や位置ズレの原因になる
異なる音速をもつ組織境界を斜めに通過すると、
・構造物が横方向へずれて表示される
・二重像(duplication artifact)が生じる
といった現象が起こることがあります。
③ アーチファクト理解の基礎になる
以下の現象は音速差と密接に関係します。
・屈折(refraction)
・側方陰影(edge shadow)
・位置誤認(misregistration artifact)
つまり、音速を理解すると
「なぜこの画像になるのか」を
物理的に説明できるようになります。
まとめ
音速は、超音波検査の画像形成を支える
最も基本的な物理概念の一つです。
・超音波は軟部組織内を約1540 m/sで進むと仮定される
・距離計算・位置表示の基準になる
・組織差による音速変化がアーチファクトを生む
・画像理解と読影精度向上に直結する知識
超音波画像を「見る」段階から「理解する」段階へ進むためには、
音速の概念理解が欠かせません。






