訪問診療におけるエコー検査の算定ルール診療報酬の落とし穴とは?

公開: 更新: 約7分

訪問診療でエコーを活用するには?

ポータブルエコーの普及により、患者さんの自宅や施設でも超音波検査を行える環境が広がっています。

一方で、

  • ポータブルエコーはあるけれど、使えるスタッフが限られている
  • 訪問先でどこまでエコーを使えばいいのか分からない
  • 訪問診療で行ったエコーを何点で算定するのか迷う
  • 院内では検査できても、訪問先ではうまく描出できない

といった悩みを持つ医療機関もあるのではないでしょうか。

訪問診療でエコーを活用するためには、装置を用意するだけではなく、算定ルールと実際に検査を行うための実技の両方を考える必要があります。

この記事では、2026年度(令和8年度)の診療報酬をもとに、訪問診療における超音波検査の基本的な算定方法と、院内でエコーを活用していくために考えたい実技教育について解説します。

訪問診療でエコーを活かすには、「ポータブルエコーがある」だけでは足りません。

どのように算定するのかを理解し、必要な場面で検査できるスタッフを育てることも重要です。

訪問診療のエコーは何点?

2026年度の診療報酬では、超音波検査はD215「超音波検査」に定められています。

訪問診療で確認したい代表的な区分が、「断層撮影法(心臓超音波検査を除く。)を訪問診療時に行った場合」の400点です。

この400点は、訪問先で行ったすべてのエコーに一律で適用されるものではありません。

在宅患者訪問診療料(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定した日と同一日に、患家等で心臓超音波検査を除く断層撮影法を実施した場合に確認する区分です。

また、この区分は月1回に限り算定する取扱いです。

主な検査 点数 確認したいこと
訪問診療時の断層撮影法
(心臓を除く)
400点 対象となる訪問診療料との同日実施、月1回
経胸壁心エコー法 880点 実際に行った検査内容が経胸壁心エコー法に該当するか確認

「訪問先でエコーをした=400点」ではない

訪問診療の算定で特に注意したいのが、検査を行った場所だけで点数を決めないことです。

例えば、患者さんの自宅でポータブルエコーを使用したとしても、それだけで400点になるわけではありません。

確認したいのは、

  • どの訪問診療料を算定した日なのか
  • 何を対象に検査したのか
  • 心臓超音波検査なのか、それ以外の断層撮影法なのか
  • どのような検査を実際に行ったのか
  • 診療上必要な検査として実施されているか

といった点です。

「ポータブルエコーを使った」「POCUSを行った」という呼び方だけで、診療報酬上の区分が決まるわけではありません。

訪問診療で心エコーをした場合は?

心臓を対象として経胸壁心エコー法を行った場合は、D215「3」イの経胸壁心エコー法880点を確認します。

訪問先で行ったからといって、自動的に400点へ変更されるわけではありません。

一方で、「心臓にプローブを当てた」というだけで880点になるわけでもありません。

実際に行った検査内容や記録などを確認し、その検査がどの区分に該当するのか判断する必要があります。

訪問診療のエコー算定は、「場所」ではなく「訪問の種類・検査対象・検査方法・実施内容」を確認して考えることが大切です。

訪問診療だからこそ、エコーが役立つ場面もある

訪問診療では、病院のように検査室へ患者さんを移動させ、その場ですぐにさまざまな検査を行えるとは限りません。

そのような環境で、患者さんのそばで画像情報を確認できることは、超音波検査の特徴のひとつです。

例えば診療内容によっては、

  • 胸水や腹水の確認
  • 心臓の状態の確認
  • 膀胱内の尿量や尿閉の確認
  • 血管や体表の確認

などで超音波が用いられることがあります。

ただし、どのような場面でエコーを使うかは、患者さんの状態や診療目的によって異なります。

「エコーがあるから使う」のではなく、診療上必要な場面で、必要な情報を確認するという考え方が基本です。

ポータブルエコーがあっても、使える人がいなければ活かせない

訪問診療を行っている医療機関の中には、すでにポータブルエコーを導入している施設もあります。

しかし、装置を購入しただけで、すぐに院内で活用できるわけではありません。

例えば、

  • 購入したものの使えるスタッフが限られている
  • 特定の医師しか操作していない
  • どの場面で使えばいいのか院内で整理できていない
  • スタッフに教える時間が確保できない
  • 実際にプローブを持って練習する機会が少ない

といった状況があると、せっかくの装置を十分に活かせないことがあります。

新しい機器を増やす前に、今あるエコー機を誰が・どのような場面で使えるのかを整理してみることも大切です。

訪問先では病院と同じように検査できるとは限らない

訪問診療では、病院やクリニックの検査室とは環境が異なります。

例えば、

  • ベッド周囲のスペースが限られている
  • 患者さんの体位を自由に変えにくい
  • 照明や室内環境が一定ではない
  • 使用できる装置やプローブが限られている

ことがあります。

そのため、普段は据え置き型装置で検査しているスタッフでも、訪問先ではプローブ操作に迷うことがあります。

大切なのは「短時間で必ず描出する」ことではなく、限られた環境の中で、

  • どの体位なら見やすいか
  • どこからプローブを当てるか
  • 角度や回転をどう変えるか
  • 呼吸をどのように使うか
  • 装置設定をどう調整するか

を考えながら操作できるようになることです。

訪問診療でエコーを活用するなら、スタッフ教育も考える

訪問診療でエコーを活用していきたい場合、算定方法を知るだけでは十分ではありません。

実際に検査を担当するスタッフが、必要な基本操作を練習できる環境も必要です。

院内で教育できるスタッフがいる場合でも、通常業務と並行しながら実技教育まで担当するのは負担になることがあります。

また、診療中の練習では、

「もう一度同じ操作をやってみたい」
「この角度で合っているのか確認したい」

と思っても、十分な時間を取れない場合があります。

そんなときは、外部の実技研修を利用する方法もあります。

SASHIの法人向けエコー実技研修

SASHIでは、訪問診療を含め、院内でエコーを活用したい医療機関向けに実技研修を行っています。

研修前に、

  • 現在どのようにエコーを使用しているか
  • 受講するスタッフの経験
  • 普段どこで困っているか
  • 施設で今後どのような検査を行いたいか

を確認し、必要な内容を整理します。

研修当日は、受講者が実際にプローブを持ちながら、

  • プローブの位置・角度・回転
  • 基本断面
  • 呼吸や体位変換
  • 装置設定
  • 必要な計測

などを練習します。

また、研修後に院内でどのような練習を続けるのかも整理し、次の練習につなげます。

訪問診療で、院内のエコーをもっと活用したい施設へ

「ポータブルエコーはあるけれど、使えるスタッフが少ない」

「訪問診療でエコーを使えるスタッフを育てたい」

「院内だけで実技教育を行うのが難しい」

SASHIでは、施設の状況や受講者の経験に合わせて、必要なエコー実技を一緒に整理しながら研修を行います。

まとめ|算定を知り、今あるエコーを院内で活かす

訪問診療で行う超音波検査には、外来とは異なる算定上の確認ポイントがあります。

2026年度では、心臓以外の断層撮影法を対象となる訪問診療時に行った場合は400点、経胸壁心エコー法は880点という区分があります。

ただし、

「訪問先で行ったから400点」
「心臓を見たから880点」

と単純に判断するものではありません。

実際の診療内容、検査方法、算定条件、記録などを確認し、最新の診療報酬点数表や通知に基づいて判断することが必要です。

そして、制度を理解した先で考えたいのが、院内にあるエコーを誰が使えるのかということです。

せっかくポータブルエコーを導入していても、使えるスタッフが限られていれば活用できる場面も限られます。

訪問診療でエコーを活用していきたい施設では、算定方法の確認とあわせて、スタッフが実際にプローブを持って練習できる環境についても考えてみてはいかがでしょうか。

※本記事は2026年10月時点の診療報酬制度をもとに作成しています。診療報酬や通知は改定・訂正されることがあるため、実際の算定・請求時には厚生労働省の最新資料および各医療機関の請求体制をご確認ください。



実務での確認ポイントを整理したい方へ

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