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A波とは
A波(A wave)とは、
心房収縮によって左心房から左心室へ
血液が流入する際に生じるドプラ波形です。
心エコー検査における僧帽弁流入血流の評価で観察され、
左室拡張機能評価における重要な指標の一つです。
A波が生じる仕組み
心周期では次の流れでA波が発生します。
- 拡張早期にE波による血液流入が起こる
- 拡張後期に左心房が収縮する
- 残った血液が左心室へ押し込まれる
この心房収縮期(atrial contraction)の血流が
A波として記録されます。
ドプラ波形での位置
僧帽弁流入血流(PWドプラ)では、
2つの主要な波形が観察されます。
- E波:拡張早期流入
- A波:心房収縮期流入
A波は、E波の後に出現する2つ目のピークとして描出されます。
測定方法
- 心尖部四腔断面(Apical 4 chamber view)で観察
- 僧帽弁尖部にサンプルボリュームを設定
- パルスドプラ(PW Doppler)で測定
A波が示す生理学的意味
A波は主に以下を反映します。
- 心房収縮力
- 左室コンプライアンス
- 拡張後期充満
左室の弛緩が低下すると、
心房収縮への依存度が増加し、A波が増高します。
E波との関係(E/A比)
拡張機能評価では、
A波単独ではなくE波との比(E/A比)で評価します。
| 状態 | E/A比 | A波の特徴 |
| 正常 | E > A | 中等度 |
| 弛緩障害 | E < A | 増高 |
| 偽正常化 | E ≒ A | 正常様 |
| 拘束型 | E ≫ A | 低下 |
A波が高くなる場合
- 左室弛緩障害
- 心筋肥大
- 高血圧性心疾患
- 加齢変化
心房収縮による補助充満が増えるため、A波は高くなります。
A波が低下・消失する場合
- 心房細動(AF)
- 重度拡張障害
- 心房収縮低下
特に心房細動ではA波は出現しません。
注意点
- 心拍数の影響を受ける
- 不整脈では評価が困難
- 年齢によって正常値が変化する
必ず以下と併用して評価します。
- E波
- E/A比
- e′(僧帽弁輪速度)
- E/e′比
まとめ
A波(A wave)とは、
心房収縮による左室流入血流を示すドプラ波形です。
- 僧帽弁流入血流の後半に出現する
- 左室拡張後期充満を反映する
- E波と組み合わせて拡張機能を評価する
A波の理解は、
心エコーにおける拡張機能評価の
基本構造を理解する重要なステップとなります。












