フォーカスとは
フォーカスとは、
超音波ビームを特定の深さに集中させ、その位置で最も高い解像度を得るための設定です。
画面上には横線や▲マーク(フォーカスマーカー)が表示され、
これを動かすことで、
その深さ付近だけが最も鮮明に描出されます。
フォーカスが合っている部分は、
境界線やエッジがシャープになり、
それ以外の深さは相対的にぼやけて見えます。
原理(しくみ)
プローブ内部の圧電素子は、
超音波を発信するタイミングをわずかにずらすことで、
複数のビームを一点に重ね合わせます。
この仕組みを合成焦点と呼び、
フォーカス点ではビーム幅が最小となります。
その結果、
フォーカス点=
超音波エネルギーが最も集中する場所=
横解像度(左右方向の分離能力)が最大になります。
操作イメージ(手動フォーカス)
手動フォーカスでは、
画面上のフォーカスマーカーをドラッグし、
観察したい臓器や病変の深さに合わせます。
フォーカスを適切に合わせると、
- 病変の境界がくっきりする
- 境界線が二重線として明瞭に見える
- 内部構造の違いが分かりやすくなる
といった変化が得られます。
オートフォーカス(自動最適化)の進化
近年の超音波装置では、
AIを活用したオートフォーカス機能が普及しています。
代表的な機能には、以下があります。
自動深度検出:
画像解析により、最適なフォーカス位置を自動で提案
リアルタイム追従:
呼吸や心拍で動く構造物に、フォーカス位置を自動追従
複数焦点最適化:
フレームレート低下を抑えつつ、多焦点を自動設定
ワンタッチ最適化:
1ボタンで最適解像度を得られる設計(初心者向け)
注意点
オートフォーカスは便利ですが、
すべての状況で万能ではありません。
- 複雑な体位変化やガス影では、手動調整が必要
- フォーカス外では解像度が急激に低下する
- 深部で多焦点を使いすぎると、フレームレートが低下する
- 低周波プローブでは、フォーカス効果が弱くなる
といった点に注意が必要です。
視覚的な変化の例
フォーカス調整前:
腫瘤の境界がぼやけ、性状判別が困難
手動フォーカス後:
境界線が明瞭になり、評価しやすくなる
オートフォーカス使用時:
最適な解像度が自動提案され、作業効率が向上
応用例
肝腫瘤:
被膜線や内部構造をフォーカスで強調
心エコー:
弁尖や乳頭筋の微細な動きを観察
血管エコー:
内膜プラークの表面性状評価
甲状腺結節:
微細石灰化や嚢胞内隔壁の描出
実践のコツ
基本は、
「オートフォーカスで全体を確認し、手動で微調整」
というハイブリッド運用です。
AIの提案をそのまま鵜呑みにせず、
病変の中で最も見分けにくい部分に
フォーカスを合わせる意識が重要です。
まとめ
フォーカスは、
横解像度を最大化するための重要な設定です。
適切に調整することで、
病変の境界や内部構造を
より正確に評価できるようになります。











