便秘で悩む患者さんに出会ったとき、
「エコーで腸の状態を確認できれば便利なのに」
と思ったことはありませんか。
しかし、便秘エコーと診療報酬の関係は
あいまいに理解されやすく、
実際にはどこまで算定できるのか不安を
抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、便秘症におけるエコー検査の役割と、
診療報酬上の正しい位置づけを整理し、
あなたが現場で迷わず判断できるように解説していきます。
便秘エコーと診療報酬の関係
まず押さえていただきたいのは、
便秘そのものを目的とした「便秘エコー検査」
という診療報酬項目は存在しない、ということです。
診療報酬は全国一律で決められており、
対象となる検査は「腹部超音波検査」など、
包括的な項目として定められています。
そのため、便秘に限定したエコーで
点数を算定することはできません。
ただし、腹部超音波検査の一環として
大腸や小腸の拡張、残便の評価などを行うことは可能です。
つまり「便秘エコー」という表現は、
現場で分かりやすく呼んでいるだけで、
あくまで腹部エコーの枠組みに含まれるのです。
腹部エコーで評価できる便秘症のポイント
便秘症に対してエコーを使う場合、
いくつか臨床的に有用な観察ポイントがあります。
- 小腸や大腸の拡張の有無
- 直腸内の便の貯留状態
- 消化管運動の低下や停滞の確認
- 腸閉塞や腫瘍など便秘以外の原因の除外
これらは特に小児や高齢者において、
非侵襲的に確認できるため大きな利点があります。
レントゲンと異なり被曝がない点も、
繰り返し評価したいケースでメリットになるでしょう。
診療報酬の算定で気をつけたいこと
診療報酬を算定する際には、
検査の目的をきちんと整理しておく必要があります。
腹部エコーの算定は「腹部超音波検査」として定められており、
対象臓器は肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓などが中心です。
便秘症を主訴にして行う場合でも、
「腸閉塞の鑑別」や「腹痛の原因精査」など、
診断的意義が明確であれば、
腹部エコーとして算定可能です。
一方で、「便秘だからエコーで見てみよう」というだけでは、
診療報酬のルールに沿わないケースがある点には注意が必要です。
現場での活用意義と学びの必要性
便秘症に対するエコーは診療報酬の算定が
直接的にはできない場合が多いですが、
それでも実臨床では非常に役立ちます。
腸管の状態を可視化することで、
患者さんへの説明がしやすくなり、
治療方針の検討にも役立ちます。
また、他の疾患を除外できる安心材料にもなり、
「便秘=機能的な問題」と安易に片づけずに
幅広く判断できるようになるのです。
こうした知識と技術は、
日常診療を支える大切な武器となります。
学びの場としての選択肢
もしあなたが「便秘を含めた腹部エコーを
もっと正確に使いこなしたい」と思うなら、
体系的に学べる環境を探してみると良いでしょう。
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あなたの疑問や課題に合わせて
腹部エコーの基礎から応用まで
しっかり習得できるように設計されています。
便秘症の評価を含め、幅広いケースに対応できる
知識と技術を身につけることが、
患者さんの安心や診療の質向上につながります。












